停戦65年、終戦宣言に向けてアメリカが行動示す番

1953年7月27日、朝鮮戦争停戦から65年を迎えた今年、戦争終結と半島和平を巡る当事者間の駆け引きが注視される。

4月27日南北首脳会談で発表された板門店宣言では、「北と南は、停戦協定締結65周年となる今年、終戦を宣言し、停戦協定を平和協定に転換し、恒久的で強固な平和体制を構築するために、北南米3者、または北南中米4者会談の開催を積極的に推進していくことにした」と宣言、南北朝鮮は終戦に向けた固い決意を示した。

厳密に言うと、韓国政府には平和協定締結に直接携わる資格がない。 朝鮮戦争停戦協定締結の直接の当事者はあくまでも、朝鮮とアメリカ(国連軍)、中国であり、韓国は当時大統領だった李承晩が協定への署名を拒否したために締結に参加していないからだ。 だが、南北は血を分けた民族であり、韓国も民族の自主的平和統一を目指す朝鮮半島和平の主役の一方として終戦宣言を推し進める立場だ。

また、6月12日シンガポールで行われた朝米首脳会談において、朝米両国は「板門店宣言を再確認」し「朝鮮半島の持続的かつ安定的な平和を構築する為に努力」することに合意した。 トランプ大統領は会談に先立ち6月7日に「シンガポールで終戦宣言に署名することがあるかもしれない」とし、終戦宣言が「朝米関係正常化の第一歩」であり「最も簡単な部分」と話していた。

しかし、現状ではそうなっていない。 終戦宣言は当初、アメリカの対朝鮮安全保障措置のうち、最優先で行われるとの観測が米国内でも支配的であった。 だが、今月初旬に行われた朝米高位級会談で、終戦宣言に関する問題が進捗することはなかった。

アメリカ側がシンガポールでの朝米首脳合意に基づいて交渉に臨まず、朝鮮の非核化プロセスのみに固執し譲歩を要求している現状に対し、朝鮮側が釘を刺している状況だ。

朝鮮は終戦宣言の採択が「歴史的な板門店首脳会談と朝米首脳会談ですでに合意された問題」で「朝鮮半島の緊張緩和と強固な平和体制構築のための最初の工程であり、朝米間の信頼醸成のための必須の要求」との立場を繰り返し明かしている。

朝鮮の「労働新聞」は25日、「特に米国は、終戦を宣言するにおいて当然の責任と義務を持っている」と強調、「終戦を宣言することをまるで誰かに下げ与える『プレゼント』のようにふるまうのは、初歩的な常識もない行動」だと警告している。

朝鮮中央通信も「朝鮮半島での終戦宣言は、地域と世界の平和実現に実質的な貢献をすることができるものであって、朝米双方はもちろん、国際社会に対し利するものはあれど、害するものは一つもない」とし「朝米間の極端な敵対関係を終わらせ、新しい関係を確立する見地から見ても、二国人民の利益と平和と安全のための新しい未来を開いていく見地から見ても、終戦宣言採択は必ず経なければならない最初の工程」と強調している。

朝鮮としては終戦宣言は、板門店宣言とシンガポール共同声明の精神に沿って、すでに解決していなければならない問題と捉えており「終戦宣言をしてこそ、平和が始まる」との立場だ。

朝鮮はシンガポール首脳会談で約束したロケット発射試験場解体作業に本格的に着手した。 また、米軍遺骨送還も27日に実行するなど、4.27板門店宣言も6.12シンガポール共同声明も着実に進めている。

朝鮮側の一連の措置は、足踏み状態に陥った朝米交渉に新たな動力を吹き込み、アメリカ国内の反対論を牽制し米国側の誠意ある対応を促すものになる。

アメリカの「VOA」は「朝鮮が西海衛星発射場解体に着手したのは、何よりも、米国との交渉を続けるという意思を明らかにしたもの」であり、「これにより、終戦宣言という次のステップに相当する措置を米国に要求したもの」分析、「非核化の進展速度が米国の終戦宣言にかかっているのは明らかである」と強調している。

次はアメリカが相応の措置を取る番だ。 トランプ大統領の決断に期待したい。

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元記者。 過去に平壌特派員として駐在した経験あり。 当時、KEDOの軽水炉建設着工式で、「星条旗よ永遠なれ」をBGMとして意図的に流しながら薄ら笑いを浮かべていた韓国側スタッフに対し、一人怒りを覚えた事も。 朝鮮半島、アジア、世界に平和な未来が訪れんことを願う、朝鮮半島ウォッチャー。 現在も定期的に平壌を訪問している。