朝鮮、モバイルバンキングを推進か?

朝鮮でスマートフォンの普及が急速に進む中、モバイル金融サービスの推進を促す方向性が示され注視される。

朝鮮の季刊学術誌「経済研究」2018年2号に「移動通信網を利用した住民金融奉仕(サービス)を活性化するにあたっての重要問題」と題する論文が発表された。

論文では「何よりもまず、携帯電話で住民らが金融取引を円満に実現できるようにする為の下部構造を構築すること」を強調している。

論文はスマホを利用した金融サービスとして「銀行口座の情報照会、現金引き出し、振り込みのような携帯電話金融奉仕や、商店・奉仕機関での代金支払いや経済奉仕を行う携帯電話経済奉仕などが含まれる」と、モバイルバンキングや決済サービスについて紹介している。

また、モバイル決済にあたり、「移動通信機関は携帯電話を利用した商品購入、金融取引に対する通知文、資金決済の確認と代金の支払いに対する情報を決済者と被決済者に提供できる通信下部構造を構築するようにしなければならない」と強調している。 その上で、金融機関が「預金が数値化され、携帯電話を通じて個人の預金口座や商品販売・奉仕機関の口座へ安全に移されるようにできる金融情報サービス網と操作体系、応用プログラムを開発して利用しなければならない」と方向性を示した。

論文は、スマホを利用した決済が迅速・正確に行われるよう、無線自動識別(RFID)、近距離無線通信(NFC)技術を基盤とした近距離通信技術の開発・導入を提案、スマホを利用した金融取引の安全性・透明性も重要な問題として挙げ、特に「運用体系の偽造・変造検査、悪性ウイルスの検査、侵入検出体系をはじめとする保安体系を利用して保安対策を徹底的に立てねばならない」と強調している。

これは、朝鮮がスマホの普及に合わせて、経済活性化と効果的な資金統制のためにモバイル金融サービスシステムの構築を一気に推進しようとする動きと言える。 朝鮮でもある種のリープフロッグ現象が起こりうるということだ。

リープフロッグ現象とは、新興国や途上国が、先進国から遅れて新しい技術に追いつく際、通常の段階的進化を踏まず、途中の段階を飛ばして一気に最先端技術に到達する現象。

例えば、中国ではパソコン普及時代を飛び越えて一気にスマホ全盛期が到来、それと同タイミングでモバイル決済が開始され国内で爆発的に普及、今では世界最先端のモバイル決済大国になっている。

中国や東南アジア、アフリカでは、電話回線や光ファイバーと言った従来インフラが整う前に小型衛星によるインターネット、スマホが急速に普及したため、モバイル関連サービスが急発展した経緯がある。

スマホ時代が一気に到来した朝鮮も、その可能性を秘めている。

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元記者。 過去に平壌特派員として駐在した経験あり。 当時、KEDOの軽水炉建設着工式で、「星条旗よ永遠なれ」をBGMとして意図的に流しながら薄ら笑いを浮かべていた韓国側スタッフに対し、一人怒りを覚えた事も。 朝鮮半島、アジア、世界に平和な未来が訪れんことを願う、朝鮮半島ウォッチャー。 現在も定期的に平壌を訪問している。