「ヒゲの困ったちゃん」は懲りないらしい。
6月シンガポールで、朝鮮の金正恩国務委員長と握手してもらって写真も一緒に撮ってもらって以来、暫くなりを潜めていたボルトン安保担当補佐官だが、何を思ったのか最近、4.27南北首脳会談時に「金正恩国務委員長が文在寅大統領に1年以内に非核化すると約束した」との発言を繰り返している。
ボルトン氏は5日、FOXニュースとのインタビューで「アメリカの優先順位は北朝鮮の非核化」であり「金正恩氏は4月27日板門店で、文在寅大統領に対し1年以内にやると約束した」と主張した。
また、6日にはFOXラジオに出演、同じ主張を繰り返して「1年以内に非核化を終えるとのアイデアがどこから発せられたものかと論議がなされるが、それは金正恩氏から出てきたもの」と言い張っている。
しかしだ。 その根拠は何処にもない。 ホワイトハウスの国家安保会議(NSC)関係者によると、ボルトン氏の論拠は「メディアがそう言っているからそうに違いない」と言うレベルのものなのだと言う。
あるNSC関係者は「それ(ボルトン発言)は朝鮮がプロセスに合意して一端履行し始めれば、非核化を終えるのに1年は掛かるだろうと言うメディア報道に従ったものだ」と漏らした。 あくまでも「メディアで幅広く報道された内容がニュースソース」だという、お粗末なものということ。
「朝鮮半島の完全非核化」が、1年そこらで出来るような簡単なものではないことは周知の事実。 何よりも当事者間の信頼醸成と信義、行動対行動の原則遵守が求められ、作業段階を相互確認しながら進める時間の掛かる工程となる。 ボルトン氏が言う「1年以内の完了」には無理がある、と言うか有り得ないだろう。
西側メディアではそれまで、「『北の非核化』に合意しても、1年のような短期間では到底不可能」「北は合意を守らない」と言う論調が圧倒的、支配的だったはず。 だとすると、ボルトン氏の一連の発言の「根拠」がメディア報道だという米国NSCの責任転嫁は苦しくみっともない。 ボルトン氏を自重させるべきだろう。
ボルトン氏、これだけでは飽き足らず、今度は「朝鮮とイランが弾道ミサイル部門で協力した事を歴史的に知っている。朝鮮とイランに対する憂慮は事実上連携している」(6日、CNN放送)と言い出す始末だ。 実際、両国関係は良好ではあるが。
これに対しては、米国務省の核非拡散担当副次官補代行だった、英国国際戦略問題研究所ワシントン事務所のフィッツパトリック所長が、自分はそのような証拠を見たこともないと反駁、「アメリカはとても高レベルな情報を持って居るし、(朝鮮とイランの間に)何らかの協力があったのであれば、何かしら証拠があったはず。しかし私は在任当時、米国情報当局からそれらの情報を受け取ったことがない」(7日、VOA放送)と強調している。
ボルトン氏は自身の激しすぎる「思い込みの中」に生きているのだろうか。 またぞろ始まったボルトン氏の暴走に対し、氏の「雇い主」であるトランプ大統領は今のところ何も発言していない。 「You’re fired!(お前はクビだ!)」もそう遠くはないのかも知れない。(Ψ)
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