ポンペオ米国務長官訪朝の急遽中止は、朝鮮からの手紙に「非核化交渉瓦解も辞さない」との強硬な姿勢が内容が盛り込まれていた為、交渉の進展が望めないと米国が判断したものと報じられているが実情は異なる。
氏の訪朝中止はあくまでもアメリカ内部の葛藤激化が原因であり、「朝鮮の手紙」は中止を決断する口実を与えたに過ぎない。
トランプ大統領が6月の朝米首脳会談(シンガポール)で、朝鮮の金正恩国務委員長に会談直後、終戦宣言に署名することを約束していたと、米メディアが報道した。
米国のインターネットメディア「VOX」は29日(現地時間)、「シンガポール会談に関わった複数の消息筋」からの情報として、このように報じた。
VOXは、約束したにも関わらず「トランプ行政府が終戦宣言に署名するより先に、朝鮮に対し大部分の核兵器を廃棄することを要求した」事が、朝米交渉が現在の膠着状態に陥った原因だと言及、「朝鮮が怒るのも当然だ。 トランプが平和宣言を約束しておきながら、ゴール門を動かしてさらなる条件を持ち出す様は、米国が約束を破ったように見えたはずだ」と指摘した。
また「消息筋」は、朝鮮が6月に金永哲朝鮮労働党副委員長がホワイトハウスを訪問した際にも、トランプ大統領が同じ趣旨の約束をしたものと推測されるとし、VOXはこれが朝鮮側が米国を強い口調で非難する原因になっているとした。 曰く、朝鮮側からすれば「終戦宣言なく朝鮮が一方的に譲歩するということは、金正恩氏が『不倶戴天の怨讐』に屈するものと受け止められかねない」との指摘だ。
ここでも上がってくるのが、ボルトン国家安保担当補佐官の名前だ。
VOXは、ボルトン氏を初めとする政権内の一部勢力が、終戦宣言への署名に猛烈に反対し強力に阻止していると指摘した。
曰く、「朝鮮は過去に嘘をついたし、核兵器を廃棄するとの約束も守られていない」と言うのが彼らの主張。 しかし、朝鮮が朝米首脳会談での合意を段階的に履行しているのに対し、米国側が具体的な措置を取っていないのは明白だ。 この理屈は通らないし、トランプ大統領も朝米交渉を降りるつもりはない。
強硬派はまた、終戦宣言の署名が駐韓米軍撤退に繋がると考えている。
トランプ大統領も駐韓米軍撤退問題を取り上げて撤収を検討したこともあり、終戦宣言の署名によってトランプ氏が撤退を決める可能性は十分にある。 朝鮮半島情勢の緊張から利益を享受する強硬派からすれば、まさに死活問題だ。
この報道と関連して、ナウアート国務省報道官は質問に対し「私はそれ(終戦宣言署名)が全体合意の一部なのかどうかについては知らない」と、事実関係を否定せずに明言を避けた。
アメリカは誠実かつ着実に合意を履行し、終戦宣言に署名すべきだ。
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