南北首脳「9月平壌共同宣言」を発表、南北「不可逆的な平和」へ
金正恩国務委員長と文在寅大統領の両首脳による南北首脳会談が、18日から20日までの日程で平壌で開催され、全世界の注目の中、19日、「9月平壌共同宣言」が両首脳の記者会見で発表された。(資料参照)
4月27日と5月26日の板門店での首脳会談に続き、今年に入って3回目(トータル5回)となる南北首脳会談について朝鮮側は、「朝鮮半島の平和と繁栄、統一のための板門店宣言の履行となる今回の平壌首脳対面は、新しい歴史を開いていく北南関係の発展をいっそう加速させる重大な契機になるだろう」(朝鮮中央通信)とした。
韓国側では文大統領が17日、訪朝に先だち青瓦台で開かれた首席秘書官・補佐官会議で「私が得ようと思うのは平和だ。国際情勢により揺れる一時的な変化ではなく、国際情勢がどうであれ揺らぐことのない、それこそ不可逆的かつ恒久的な平和だ」と首脳会談の意義について話していた。
今回発表された「9月平壌共同宣言」では、
①非武装地帯を初めとする対峙地域での軍事的敵対関係の終息と朝鮮半島全地域での実質的な戦争危険の除去と根本的な敵対関係の解消
②相互互恵と共利共栄の土台の上で交流と協力増大と民族経済の均衡的発展の実質的対策
③離散家族問題を根本的に解決するための人道的協力強化
④民族の気概を内外に誇示するための多様な分野での協力と交流の積極的推進
⑤朝鮮半島を核兵器と核の脅威がない平和の場するための実質的進展
⑥金正恩国務委員長のソウル訪問の実現
をあげた。
特に注目すべきは、共同宣言の付属合意文として採択された「板門店宣言の履行に向けた軍事分野合意書」の存在。
南北双方は合意書で、いかなる場合でも武力を使用しない事で合意し、陸海空のあらゆる空間で軍事的緊張と衝突の根源となる一切の敵対行為を全面中止することにした。 また、軍事的衝突を招くあらゆる問題を平和的な方法で協議・解決し、いかなる攻撃、占領行為をしないことで合意した。
つまり、朝鮮半島で二度と武力衝突を起こさないと言う約束を世界に向けてするものと言える。 またこれは、板門店宣言で掲げられた年内の終戦宣言実現努力を軍事分野から担保する具体的行為になる。 9月平壌共同宣言1条と軍事分野合意書は「実質上の南北終戦宣言」をしたに等しい。
今回の首脳会談を契機に南北和解と協力も加速度的に進むものと思われる。
南北は共同宣言で、今年内に東海・西海線鉄道および道路連結のための着工式を行うとした。 経済協力のためのインフラ整備に着手する時期を具体的に示した訳だ。 また、今回の南側訪朝団には、鉄道、道路などの各専門分野の代表が参加する中、韓国の財閥トップら含まれている。 今後、民族自主自立の立場から「民族経済を均衡的に発展させて行く」ための布石を打つものと言える。
南北はまた「朝鮮半島を核兵器と核の脅威がない平和の場とするための実質的進展」として「朝鮮半島の完全な非核化」のために緊密に協力し、朝鮮は当面措置として東倉里エンジン試験場とミサイル発射台を永久廃棄するとした。 また、米国が6.12朝米共同声明の精神に基づいて相応の措置をとれば、寧辺核施設の永久的廃棄などの追加的措置を取る用意があるとした。
これは、非核化が「朝鮮の一方的な非核化」ではなく、「朝鮮半島の完全な非核化」を目指すものであるという事を南北が再確認するもの。 また、アメリカに対しシンガポール合意の履行を強く促すシグナルとなる。 ネオコンとリベラルホークに包囲され、窮地に立たされているトランプ大統領が、朝米交渉進展で打開をはかれるよう、側面支援をするものと言える。
平壌首脳会談と9月平壌共同宣言は、外部が制動をかけようとも、民族自主の精神のもとで南北和解と協力をさらに強固なものに発展させるという南北の決意を世界に示した。
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