EUの朝鮮経済協力加速化?

今年に入って朝鮮の外交が活発化している中、外務省のEU担当者が欧州を訪問してEU高位官僚と会合している。

外交筋によると、朝鮮の担当者が3月末ベルギーのブリュッセルを訪問してEU執行委員会、EU対外関係庁の高位官僚と会談、5月までEU各国を訪問する予定という。 この過程で双方の間で結んでいる開発支援と経済制裁に関する意見交換を行うものと思われる。

EUでは一部産業部門で廉価で性能のいい朝鮮のCNC(数値制御装置)装備を導入するなど、朝鮮の科学技術に早くから着目していた。 しかしアメリカとの外交体面上「経済制裁」に足並みを揃えざるをえず、本格的な交流や協力事業を進めることができないでいたが、朝米関係が進展しそうな気配を察知して積極的に動き始めたものと見られる。

イタリア総合投資グループのバロリー理事長が17日から朝鮮を訪れたが、その一端とみられる。

また近年、中国の大手企業が朝鮮のコンピュータプログラマーを採用してスマートホン等の情報通信製品開発を進めているが、朝中関係が修復されて協力体制が更に強化されると、EU製品の競争力が深刻な影響を受ける可能性も否定できず、それに先手を打つという意味合いも考えられる。

朝鮮は自立的民族経済を基本にしながら、西側資本主義との交流協力にも積極的な姿勢を一貫して示している。 西海沿岸部と東海沿岸部、最近では平壌の南側に経済特区を造成しており、西側諸国との共同開発を推進するための基盤を揃えている。 経済制裁が解除されれば、欧州資本が挙って投資するものと思われる。

地政学的に見ても、朝鮮は太平洋とユーラシアを結ぶ要衝の地でもある。羅津、清津、金策、元山など大型貨物船が往き来できる不凍港や南浦、新義州などの大型の港もある。

周りには「世界の工場」中国や、韓国、台湾、日本等の高水準の部品・素材企業が並び立つ。

ロシアのエネルギー資源に朝鮮と中国東北三省の莫大な地下資源もある。 また、ロシア極東と中国東北三省の草地と農耕地は食料生産基地としての可能性が大きい。 それらをリンクさせるポジションに朝鮮がある。

一説によると朝鮮は今後、汚染物質を排出する産業よりも、先端科学技術産業と観光業を集中育成する計画だとのこと。今後の朝鮮経済と交易の発展が期待される。(了)

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元記者。 過去に平壌特派員として駐在した経験あり。 当時、KEDOの軽水炉建設着工式で、「星条旗よ永遠なれ」をBGMとして意図的に流しながら薄ら笑いを浮かべていた韓国側スタッフに対し、一人怒りを覚えた事も。 朝鮮半島、アジア、世界に平和な未来が訪れんことを願う、朝鮮半島ウォッチャー。 現在も定期的に平壌を訪問している。