「2〜4年後には『北朝鮮バブル』が巻き起きる」 ジム・ロジャーズ氏

世界的に著名な投資家のジム・ロジャーズ氏が、朝鮮経済のビッグチャンスが来るとの展望を示した。

ロジャーズ氏は過去にも度々朝鮮経済と関連し注目発言をしてきた。

講談社のウェブサイト「マネー現代」(1月4日付)によると、ロジャーズ氏は同誌の独占インタビューに応じ、自身が朝鮮の経済動向を注視していると語った。

ロジャーズ氏はその理由として、朝鮮には高い教育を受け訓練もされた安価な労働者がおり、自然資源も豊富で、韓国には資本が多くあり、専門家も多く居住している事を挙げた。

ロジャーズ氏は自身が既に朝鮮関連の株式投資を実行しているとし、「私は、大韓航空の株をすでに買いました。 これから経済開放が実現すれば、韓国と北朝鮮間で旅行が盛んになると思うからです。」「旅行産業は盛り上がりますよ。 韓国の人々が遊びに行きますからね。 ホテルやレストラン、タクシー会社などもビジネスとしていいでしょう。 開放した北朝鮮には、非常に多くの旅行者が来ると思います。」と述べた。

ロジャーズ氏は朝鮮の「鉄鋼」「インフラ」にも注目しているという。

彼は「北朝鮮は資源が豊富で、まだまだ採掘できる鉄鋼が豊富に眠っています。 1970年代のことですが、北朝鮮は資源が豊富なので、じつは韓国より裕福だったんです。 しかし、コミュニズムが北朝鮮をダメにしてしまった。経済を開放したら、これらの資源をいかして、非常に成功すると思います。

北朝鮮では、インフラにも投資が集まるでしょう。 彼らは電気などありとあらゆることが必要ですから、韓国と中国は真っ先に北朝鮮に投資するでしょう。 じつは多くの韓国の企業はすでに、タスクフォースを作って、北朝鮮の経済開放からいかにアドバンテージを得たらいいかを研究し始めています。」

ロジャーズ氏は、中国、ロシアもすでに朝鮮でのビジネス機会をうかがい、準備を始めているとし、「北朝鮮経済が開放されれば、多くの投資がこの国に実行されることになります。 投資対象としては、良い人材のいる企業であれば、旅行業でも農業でも電気関係でも、インフラでも、ホテルでも、レストランでも、小売業でもいい。 彼らは何も持っていない、ほとんど『ゼロ』に近い状態だから、成長の余地はふんだんにあるのです。 だから、経済開放が韓国はもちろん、ロシアも、中国も大歓迎ですよ。 それが大きなビジネスチャンスになり得るからです。」と語った。

彼は、金正恩国務委員長が朝鮮の経済改革に真剣だと指摘、「金氏は自分の国とは違う世界を見てきました。 実際、彼は最高指導者になって、15の自由貿易ゾーンを生み出しました。 国際スキーリゾートも作りました。 国際自転車レースや国際マラソンも開きました。 金氏はすでに、できるところから開放しようとしてきているのです。」と述べた。

ロジャーズ氏は、朝鮮が「明日にでも開放してもおかしくはない」と言及、「アメリカという存在がなく、北朝鮮と韓国だけだとしたら、彼らは明日にでも開放したいところでしょう。 問題は、アメリカが韓国に3万人の軍隊を駐留させていること、そして、アメリカが軍隊を引き上げたくないと考えていることです。

アメリカは北朝鮮を非核化させたがっています。 アメリカは韓国に3万人の軍を置いたうえ、グアムや日本にも軍隊を置いている。 北朝鮮はその状況を歓迎していないのです。 北朝鮮としては、自分たちは核兵器を除去するから、アメリカも除去してほしいという姿勢です。 しかし、アメリカは軍隊を引き上げたくはない。問題はアメリカにあるのです。

これが韓国、中国、ロシアだけなら、来週にでも経済を開放するでしょう。 逆に言えば、アメリカが軍隊を引き上げたら、すぐに経済開放が起きると思います。 だからこそ私はすでに、経済開放の恩恵を被りそうな企業を探し、投資しようとしているのです」と説明した。

ロジャーズ氏は、「日本政府はもしかしたら北朝鮮の経済開放を止めたいかもしれませんが、止めることはできないでしょう。 中国、ロシア、北朝鮮、韓国は日本が開放に反対することに、反対するからです。

北朝鮮経済が開放しても、直接的にはあまり日本経済に影響はないと思っているのかもしれません。 今から2〜4年後には『北朝鮮バブル』が巻き起きると思います。 その時、中国や韓国が北朝鮮バブルに沸く中、日本経済だけがその恩恵を受けられない可能性すらあるわけです」と指摘した。

朝鮮半島を取り巻く関係諸国が活発に動く中、事実上「蚊帳の外」にあり完全に出遅れている日本が置かれた状況を想起させつつ、ロジャーズ氏は今からでも朝鮮の経済開放に向けて準備を進めるべきだとの見解を示した。

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元記者。 過去に平壌特派員として駐在した経験あり。 当時、KEDOの軽水炉建設着工式で、「星条旗よ永遠なれ」をBGMとして意図的に流しながら薄ら笑いを浮かべていた韓国側スタッフに対し、一人怒りを覚えた事も。 朝鮮半島、アジア、世界に平和な未来が訪れんことを願う、朝鮮半島ウォッチャー。 現在も定期的に平壌を訪問している。