2019年に入り2週間ほど経ったが、その間も世界は目まぐるしく動いている。
新年早々、金正恩国務委員長とトランプ大統領が親書を互いに送り合い、首脳会談を協議するための高位級会談が取り沙汰されるなど、2回目の朝米首脳会談もますます現実味を帯びてきた。
8日~10日には金国務委員長が習近平国家主席の招請を受けて中国を訪問し、「どんな波風にもびくともしない不敗の親善関係に昇華発展した朝中両国間の素晴らしく偉大な団結」を誇示した。
朝鮮半島情勢はさらに大きく変わろうとしている。
改めて見ると昨年、朝鮮半島を軸に実に大きな地殻変動が起こったことが解る。 南北の劇的な融和と交流協力の促進、「新しい関係樹立」に向けたの朝米関係の変化は、朝鮮半島関係国の立ち位置にも多大な変化をもたらす事となった。
中でも重要なのは、朝鮮の国家核武力完成による朝鮮・中国・ロシアの3核保有国間の戦略的協力関係の実現、「伝統的友邦関係」の復活と強化発展だ。 朝中露はそれを明確に世界に示し、結果、朝中露VS米という3対1の核保有国間の対立構図が形成され、第二次世界大戦後、米国優位で保たれてきた核覇権の構図が崩れる変化が起きた。
新たな戦略構図は、強力な戦争抑止力として機能し、シリア戦争を初め、アフガニスタン戦争、イエメン戦争の終息、そして60数年に及ぶ朝鮮戦争を終息に向かわせる。
昨年12月、シリア駐留米軍の全面撤収命令とアフガニスタン駐留米軍の一部撤退決定直後に「米国は引き続き、世界警察の仕事はできない」とトランプ大統領が明言した意味は大きい。
それは、「米国がこれ以上、海外の軍事作戦に数百億ドルをつぎ込む余力がない」ことを表わしたもので、「アメリカの覇権をなす経済、制度的、軍事的基礎の崩壊が可視化」されたものだからだ。
実際、米議会調査局も昨年11月「ロシアや中国を相手にした戦争が行われた場合、敗北する可能性がある」とする議会報告書を発表しているが、これは米国が軍事力でロシアや中国に劣るという率直な吐露だ。
このように、核保有国間の3対1の戦略構図形成と米国の「世界警察の放棄」は表裏一体として連動しているといえる。
ネオコンとリベラルホークの意を汲む米国の主流メディアは、米国の世界警察放棄がトランプ大統領の行き過ぎた「アメリカファースト」の産物とか、同盟国に防衛費をより拠出させるための策略などというトランプ政府の政策の結果と報道している。
これだと、まるでトランプ大統領が考えを変えたり大統領が交代さえすれば、いつでも米国は世界の警察の地位に返り咲ける言う錯覚を起こすが、実際の米国は、世界警察の役割を演じたくてもできない状況に陥った。 それは、米国の一方的覇権主義に反対する朝中露3国の戦略的団結と、米国の軍事力、経済力の凋落によるものなのだ。
それでも、これらの変化の受け入れをよしとせず、過去の栄光にしがみつく米軍産メディア複合体とその追従勢力は、どうにかシリア撤退を延ばしアフガニスタン戦争を継続し、朝鮮半島の平和体制構築をも阻もうとしているが、「流れ」は変えられない。 南北が民族自主を堅持し和解協力を進め、中露がそれを後押しし、米国もトランプ大統領の決断が強硬派を抑え、朝米関係に大きな変革をもたらすだろう。
朝中露3国の戦略的団結による戦争抑止力によって、米国は新たな戦争を起こせない。 その上で、朝鮮半島の完全非核化を成し遂げようというのだ、朝鮮が主導し米国を巻き込んで。
昨年10月の3国外務次官会談で、朝中露3国は朝鮮半島の緊張緩和のため、韓国と米国を交えた関係国の5ヶ国協議が必要との認識を示している。 朝鮮半島関係国の構図もそうなりつつある。 だが、「朝鮮敵視」「韓国敵視」を執拗に煽る日本の席はそこにはない。 そう、今のままでは。(Ψ)
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