朝鮮の金正恩国務委員長12日、朝鮮最高人民会議第14期第1回会議で施政演説「現段階における社会主義建設と共和国政府の対内外政策について」を行った。
以下要旨。
「社会主義強国の建設は、社会主義の完全勝利を目指す闘いの歴史的段階であり、それは金日成・金正日主義国家建設思想をしっかり具現してこそ、立派に成し遂げられる。
金日成・金正日主義国家建設思想には、我が共和国を史上最も尊厳あり威力ある社会主義国家に強化し発展させてきた、偉大な領袖金日成同志と偉大な指導者金正日同志の国家建設思想と業績が集大成されており、国家政権を政治的武器にして社会主義偉業を達成するための方向と方途がはっきり明示されている。
国家建設と活動において自主の革命路線を堅持するのは、我が共和国の一貫した確固不動の立場である。
国家活動と社会生活の全般に、人民大衆第一主義をしっかり具現しなければならない。
国家の全般活動に対する党の指導を全面的に保障すべきである。
党の指導は社会主義国家建設本来の要求であり、国家活動の生命線である。」
「今日の政治情勢の流れは我が国家をして、自立、自力の旗印をより高く掲げることを求めている。
最近、我々の核戦力の急速な発展の現実から自分らの本土安全に恐れを感じた米国は会談場に出て、一方では関係の改善と平和の包みをいじり、他方では経済制裁に必死になって執着しながら、なんとしても我々が進む道を逆戻りさせ、先武装解除、後体制転覆の野望を実現する条件を整えてみようと非常に躍起になっている。
米国が我が国家の根本利益に背馳する要求をいわゆる制裁解除の条件として持ち出している状況の下で、我々と米国との対峙はいずれにせよ長期性を帯びることになっており、敵対勢力の制裁も続くようになるであろう。
力では我々をどうにもすることができない勢力にとって、制裁は最後の窮余の一策であるとしても、それ自体が我々に対する我慢できない挑戦であるだけに、決してそれを容認したり傍観視したりするわけにはいかず、必ず立ち向かって粉砕しなければならない。
長期間の核脅威を核で終息させたように、敵対勢力の制裁突風は自立、自力の熱風で一掃しなければならない。
社会主義経済建設で我が党と共和国政府が掲げている戦略的方針は、人民経済を主体化、現代化、情報化、科学化することである。
人民経済の自立性と主体性を全面的に強化しなければならない。
人民経済の現代化、情報化を積極的に実現して、国の経済を知識経済に確固と転換させなければならない。
地方経済を発展させ、対外経済活動を活性化すべきである。
国の経済活動を国家の統一的な掌握と統制、戦略的な作戦と指揮の下で行わなければならない。
自立経済発展の基本動力は、人材と科学技術である。
共和国の政治的・軍事的威力を一層強化しなければならない。
共和国政府は、社会主義社会本来の要求に即して政治・思想活動を確固と先行させて社会の全ての構成員を真の金日成・金正日主義者に育て、我が国家の政治的・思想的統一と団結をさらに強固にうち固めていかなければならない。
共和国政府は、国家の法体系を完備し、国家社会生活において法の役割を強めるようにすべきである。
自衛的国防力は、我が共和国の自主権守護の強力な霊剣である。
こんにち、朝鮮半島に到来し始めた平和の気流は強固なものではなく、我が共和国に対する敵対勢力の侵略企図がなくなったのでもない。
我々は、強力な軍事力によってのみ平和が保障されるという哲理をつねに銘記し、自衛の原則を堅持し、国防力を引き続きうち固めなければならない。
社会主義文化を朝鮮式に開花、発展させなければならない。
国家的に教育を最優先視する気風を立て、朝鮮式の教育革命を促して先進国の教育水準を追い越さなければならない。
共和国政府は、社会主義保健医療事業に特別に大きな力を入れなければならない。
文化芸術部門で、時代の要請と人民の志向を反映した名作をより多く創作、創造し、特に映画部門で新世紀の映画革命の炎を起こして、社会主義文化発展の新しい全盛期を開いていくうえで先駆的な役割を果たさなければならない。
スポーツは国力をうち固め、民族の英知と尊厳を宣揚するうえで非常に重要な役割を果たす。
社会主義的生活様式と道徳紀綱を確立するのは我々の思想、我々の体制を守り、輝かせるための深刻な政治闘争であり、先鋭な階級闘争である。
共和国政府に提起された膨大な革命課題を成功裏に遂行するためには、人民政権機関の機能と役割を強めなければならない。」
「今、全民族は歴史的な板門店宣言と9月平壌共同宣言が徹底的に履行されて朝鮮半島の平和的雰囲気が持続的につながり、北南関係が絶え間なく改善されていくことを切々と願っている。
しかし、南朝鮮の保守勢力は民族の志向と国際社会の一様な期待にあまりにも不実な言動で応えており、北南関係を板門店宣言発表以前の時期に逆戻りさせようと躍起になっている。
米国は、南朝鮮当局に『速度調節』を露骨に強迫しており、北南合意の履行を自分らの対朝鮮制裁・圧迫政策に服従させようと各方面から策動している。
これによって我々の前には、朝鮮半島の緊張を緩和して北南関係改善の雰囲気を引き続き繋いでいくか、でなければ戦争の危険が濃くなる中で破局へ突っ走っていた過去へ逆戻りするかという重大な情勢が生じている。
既に明らかにしたように、南朝鮮当局と手を取り合って北南関係を持続的かつ強固な和解・協力関係に転換させ、全同胞が一様に願っている通りに平和で共同繁栄する新しい民族史を記していくというのは、私の確固不動の決心であることを再度明白にしておく。
忌まわしい現事態を収拾し、北と南が難しくもたらした関係改善の良い雰囲気を高調させ、それが平和と統一の意味ある実に結ぶようにするには、自主精神を濁らせる事大的根性と民族共通の利益を侵害する外部勢力依存政策に終止符を打ち、全てを北南関係の改善に服従させなければならない。
私は、南朝鮮当局が心から北南関係の改善と平和と統一を願うなら、板門店対面と9月平壌対面の時の初心に戻って北南宣言の誠実な履行で民族に対して担っている自分の責任を果たさなければならないと思う。
南朝鮮当局は、趨勢を見て躊躇ったり、騒がしい行脚を催促してお節介な『仲裁者』『促進者』の振る舞いをするのではなく、民族の一員として気を確かに持って自分が言うべきことは堂々と言いながら、民族の利益を擁護する当事者にならなければならない。
北南関係改善の雰囲気を引き続き生かしていくには敵対的な内外の反統一、反平和勢力の蠢動を粉砕しなければならないということが、我々の一貫した主張である。
米国と共にうわべだけ変えて、すでに中断することになっていた合同軍事演習まで再び強行しながら、隠蔽された敵対行為に執拗にしがみつく南朝鮮軍部好戦勢力の無分別な策動をそのまま置いては、一方的な強盗さながらの要求を前面に掲げて、関係の改善に人為的な障害をきたしている米国の時代錯誤の傲慢と敵視政策を根源的に一掃せずには、北南関係での進展や平和・繁栄のいかなる結実も期待することができないということを時期を逸する前に悟ることが必要である。
北と南、海外の全同胞は、民族の運命と前途を賭けて北南関係の改善と平和統一へ向かう歴史的流れに挑戦する米国と南朝鮮保守勢力の策動を断固と阻止、破綻させなければならない。
南朝鮮当局が心から北南関係の改善と平和と統一の道へ進む意向なら、我々の立場と意志に共感して歩調を合わせなければならず、口先ではなく実践の行動でその真心を見せる勇断を下さなければならない。
我が党と共和国政府は今後も、民族の志向と念願を厳かに刻み、北南関係の持続的な発展と国の平和統一の実現のために引き続き真摯かつ忍耐力のある努力を傾けていく。」
「朝鮮民主主義人民共和国は、核実験と大陸間弾道ロケット試射の中止をはじめ、重大かつ意味ある措置を主動的に講じて朝米敵対関係解消のキーポイントである信頼構築の第一歩を踏み出し、米大統領が要請した米軍遺骨送還問題を実現させる度量の大きい措置も取って、新しい朝米関係樹立の里程標となる6.12朝米共同声明を誠実に履行していくという意志を誇示した。
しかし去る2月、ハノイで行われた第2回朝米首脳会談は、我々が戦略的決断と大勇断を下して踏み出した歩みが果たして正しかったかに対する強い疑問を抱かせ、米国に真に朝米関係を改善しようとする考えが本当にあるのかという警戒心を持つようにした契機となった。
我々は、第2回朝米首脳会談で6.12朝米共同声明の履行のために必ず経るべき必須の段階と経路を朝米双方の利害関係に合致するように設定し、より慎重で信頼的な措置を講じる決心を披瀝したし、それに対する米国の肯定的な回答を期待した。
ところが、米国は全く実現不可能な方法にのみ頭を働かせて会談場に訪ねて来た。
言い換えれば、我々と向かい合って座り問題を解決していく準備ができていなかったし、はっきりした方向と方法論もなかった。
米国は、そのような考えでは百回、千回われわれと再び対座するとしても、我々を少しも動かせないであろうし、自分らの利を貪ることができないであろう。
今、米国では我々の大陸間弾道ロケットの迎撃を想定した試験が行われ、米大統領が直接中止を公約した軍事演習が再開されるなど、6.12朝米共同声明の精神に逆行する敵対的動きが露骨になっており、これは我々をひどく刺激している。
風が吹けば波が立つように、米国の対朝鮮敵視政策が露骨になるほど、それに対応する我々の行動も伴われることになっている。
最近、米国が第3回朝米首脳会談についてまたもや考えており、対話を通じた問題解決を強く示唆しているが、新しい朝米関係樹立の根本方途である敵視政策の撤回に依然として顔を背けており、むしろ我々を最大に圧迫すれば屈服させられると誤って判断している。
我々も勿論、対話と協商を通じた問題の解決を重視するが、一方的に自分の要求だけを押し付けようとするアメリカ式対話法には体質的に合わず、興味もない。
米国が対話を通じて問題を解決しようとしながらも、我々に対する敵対感を日毎にいっそう高調させるのは、燃える火を油で鎮火してみるということ同様の愚かで危険な行動である。
朝米間に根深い敵対感が存在している状況で6.12朝米共同声明を履行していくには、双方が互いの一方的な要求条件を棄てて各自の利害関係に合致する建設的な解決法を探さなければならない。
そのためには先ず、米国が現在の計算法を捨てて新しい計算法をもって我々に接近するのが必要である。
今、米国が第3回朝米首脳会談の開催について多く言っているが、我々はハノイ朝米首脳会談のようなサミットが再現されることに対しては嬉しくもないし、行う意欲もない。
だが、トランプ大統領が引き続き言及するように、私とトランプ大統領との個人的関係は両国間の関係のように敵対的ではなく、我々は相変わらず素晴らしい関係を維持しており、思いつけば何時でも互いに安否を問う手紙もやり取りすることができる。
米国が正しい姿勢をもって、我々と共有できる方法論を探した条件で第3回朝米首脳会談をしようとするなら、我々としてももう一度ぐらいは行ってみる用意がある。
しかし、今この席で考えてみれば、何かしらの制裁解除問題のために喉が渇いて米国との首脳会談に執着する必要がないという考えをすることになる。
とにかく、今年の末までは忍耐力を持って米国の勇断を待ってみるが、この前のように良いチャンスを再び得るのは確かに難しいことであろう。
今後、朝米双方の利害関係に等しく合致し、互いに受け入れ可能な公正な内容が紙面に書かれれば、私は躊躇せずその合意文にサインするであろうし、それは全的に米国がどんな姿勢でどんな計算法をもって出てくるかにかかっている。
明白なのは、米国が今の政治的計算法を固執するなら問題解決の展望は暗く、非常に危険であろう。
私は、米国が今日の要の時点で賢明な判断を下すであろうと期待し、ようやく止めおいた朝米対決の秒針が永遠に再び動かなくなることを願う。
共和国政府は、我が国の自主権を尊重し、友好的に接する世界の全ての国との親善と協力の絆を強化発展させていくものであり、朝鮮半島で恒久的であり強固な平和体制を構築するために、世界の全ての平和愛好勢力と固く手をつないでいく。」
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