歴史的な4.27板門店南北首脳会談から1年。
「北と南は、南北関係の全面的で画期的な改善と発展を実現することで断たれた民族の血脈を繋ぎ、共同の繁栄と自主統一の未来を早めて行くであろう」
金正恩国務委員長と文在寅大統領が署名した「板門店宣言」は第一条でこう記した。
この間、南北間では鉄道・道路の連結と現代化、スポーツ交流、山林協力など協力が行われ、南北共同連絡事務所が稼働した。
昨年11月からは陸海空で一切の軍事的敵対行為を中止、板門店共同警備区域の非武装化等も行われた。
5月板門店首脳会談、9月平壌首脳会談など、昨年内に南北間で行われた会談は実に36回にのぼる。
南北和解と協力は一気に進むかのように見えた。 しかし、現時点において南北和解と協力への流れは全ての分野で滞ってしまった。
それは、平壌市民の前で誓った「民族自主」を忘れてしまったかのような文在寅大統領の政治的優柔不断が招いたとも言える。
南側政府は「同盟国」である米国の顔色を窺うあまり、朝米対話が膠着状態に陥るや、「国際社会による対北朝鮮制裁の枠組み」の名分で南北交流事業に自主規制をかけてしまっている。
UN安全保障理制裁や米国による独自制裁などにより、鉄道・道路の共同調査、連結事業の着工式、映像による離散家族の再会、開城にある高麗時代の遺跡共同発掘調査など、南側は北側に物資を搬入する際、都度例外としての手続きを取らざるを得なかった。
金正恩国務委員長は今年の新年の辞で、「当面して我々は、開城工業地区に進出した南側企業人の困難な事情と民族の名山を訪れたいとする南側同胞の願いを察し、何の前提条件や対価なしに開城工業地区と金剛山観光を再開するための用意があります」と表明した。 しかしながら、現時点でその見通しは立っていない。
北側は「南朝鮮当局は、成り行きを見て左顧右眄し、せわしく行脚して差し出がましく『仲裁者』、『促進者』のように振る舞うのではなく、民族の一員として自分の信念を持ち、堂々と自分の意見を述べて民族の利益を擁護する当事者にならなければなりません」(金委員長、最高人民会義施政演説4.12)と主張、南側に民族自主に立ち返るよう訴えた。
民族問題において、外勢の「許可」も外勢への「同調」も必要ない。 「民族自主」あるのみだ。
米国が南側に対し南北協力の速度調整を強要し、UN経済制裁の遵守を口実に南北合意の履行を妨げている以上、南側は勇気と覚悟をもって「民族自主」で突っぱねて突破するしかない。
板門店宣言から1周年にあたり、南北は合同記念行事を開催することが出来なかった。 これに際し南側が北側を公式に招く意思を伝えることが出来なかったことも、最近の南北関係を端的に示している。 厳しいがこれが南北の「現住所」と言えよう。
文大統領が内政と対米外交で簡単ではない難しい立場に置かれていることは充分理解できる。 故に深重に立ち振る舞わざるを得ない事情もあろう。 だが、それを突破する力もまた、「民族自主」にある。(Ψ)
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