6月30日に行われた朝米首脳の板門店会合と首脳会談は米政府内の対朝鮮ラインに少なからぬ変化をもたらしそうだ。
その一つとして、ボルトン米国家安全保障会議(NSC)補佐官の影響力が削がれ、対朝鮮意思決定ラインから排除されるという説が現実務を帯びてきた。
実際、ボルトン氏はトランプ大統領の訪韓に随行していたが、板門店訪問を前にモンゴルへと派遣され朝米首脳会談の場に立ち会えなかった。 イラン及びベネズエラへの対応を巡る超強硬路線のごり押しによってトランプ大統領の「視野から外れた」という噂が出回っていたが、それを裏付けるような動きだ。
ボルトン氏の立地委縮は米当局の朝米交渉権限が国務省ラインへと重点シフトし、今月中旬に予想される朝米実務交渉の再開を控え米国側がより柔軟な対朝鮮路線に切り替えるのではないかとの憶測を呼ぶ。
事実、ポンペオ長官の「指揮下」にあるビーガン国務省対朝鮮特別代表が「柔軟なアプローチ」に基づく「やりとり」の可能性を言及、朝鮮に対し融和的メッセージを発信している。
「トランプ政府内で核凍結に焦点を当てた協議案が検討されている」という、ニューヨーク・タイムズ(NYT)の報道に対し、ボルトン氏は「NSC内で議論されたことも聞いたこともない」と激しい反発を見せたが、これは自身の立地悪化説に油を注ぎ、対朝鮮意思決定ラインから排除されたのではないかという推測により説得力を与えている。
米NBC放送は「トランプはもうタカ派ボルトンの言葉を聞いてない」というタイトルで、「タカ派ボルトン補佐官がトランプ大統領への影響力を維持するために苦心している」「トランプ大統領が今回出した対朝鮮勝負カード(板門店会談)が、ここ数週間トランプ大統領との軋轢の破裂音を生み出していた国家安全保障補佐官の影響力に対する疑問を呼び起こしている」と報道した。
ボルトン氏の「モンゴル訪問」が1ヶ月前には決まっていただろうとNBC放送は伝えたが、ホワイトハウス消息筋は「これはボルトンに対する大統領からの一種の公開叱責とも見ることができる」と明かした。 5月の時点で対イラン政策をめぐってトランプ大統領とボルトン氏の葛藤が既に悪化した状態にあり、トランプ大統領はボルトン氏に対し怒っており彼に疑問を抱いているという。
ボルトン氏の立地弱体化は相対的にポンペオ長官の地位強化につながる。
ポンペオ長官も対イラン強硬対応を主張してきた点ではボルトン氏と一致した立場だが、トランプ大統領とより「親密な関係」を維持しており、大統領が不快に思う部分については引いてその見解に合わせるのがより上手だ言われる。
ポンペオ長官に対しては、朝鮮側が朝米交渉の担当にふさわしくないと名指しで非難したりもしたが、今回の板門店首脳会談に陪席するなど、当面朝米交渉担当の米国側実務トップとして残る模様だ。
ポンペオ長官の今後の立ち振る舞いとボルトン氏の去就が注視される。
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