4.27、もはや朝鮮半島に戦争は起こらない

コリョ・ジャーナル

4月27日、歴史的な出会いによって、朝鮮半島は長きにわたる民族分断の悲劇に終止符を打つべく、自らの意志で歴史の大きな歯車を回し始めた。

朝鮮の金正恩国務委員長と韓国の文在寅大統領は板門店での共同宣言で、南北は二度と戦わず、停戦協定締結65周年にあたる今年内に朝鮮戦争を終結させると、全世界が見守る中、堂々と宣言した。 断たれた民族の血脈を繋ぎ、共同の繁栄と自主統一の未来を目指すと。

民族分断・半島分断の象徴である板門店から、南北両首脳が民族の自主統一を世界に示したのは非常に大きな意味を持つ。

今回の会談では、金正恩委員長が韓国の儀仗兵による閲兵式を閲兵した。

軍事境界線南側共同管理区域は現在UN軍の管轄区域であり、これは実質上アメリカ軍の管轄下区域にあることを意味する。 警備兵こそ韓国軍が請け負ってはいるが実際には支配権がない。作戦統帥権がないからだ。 故に、過去にこの地域で南側主導の軍事行事や催事は行われた事がなかった。

このような場所に北側のトップが乗り込んで南側のトップと会い、かつ、南側の軍事行事に参加したのだから意義が深い。 アメリカの承認なくしてこのイベントは行えなかったはずだからだ。 アメリカも南北首脳会談の開催を支持したということになる。 これは北と南の実務者双方が会談成功に向けて力を合わせ、事前準備に尽力して根回ししたのが功を奏した形だ。

南北首脳は、世界に向けて停戦協定締結65周年にあたる今年、終戦を宣言し、停戦から平和協定に転換し朝鮮半島の恒久的平和を構築する為に南北米三者または南北米中四者会談の枠組みを積極推進すると世界に発信した。

南北首脳が朝鮮戦争終結への枠組みを明確に示したことによって、アメリカは朝鮮に対して従来のように公然と戦争を仕掛けることが出来なくなった。 停戦協定の当事国を明確にすることによって責任を負わせ、「責任ある行動」と言う縛りでアメリカを封じ込めたといえる。 ましてや、朝鮮はアメリカ本土を打撃しうる戦略核兵器(国家核武力)を完成させた。 もはやアメリカも、自らの破滅を招きかねない愚かな行動を取ることはできまい。

南北首脳は朝鮮半島の完全な非核化を実現する共同目標を確認、朝鮮が講じている主導的な措置が朝鮮半島非核化のために非常に有意義で重大な措置との認識を共有し、南北がそれぞれの責任と役割を果たすとした。

ここで謳われた朝鮮半島の完全な非核化は、日本とアメリカの和平反対派が喧伝する「北の非核化」ではなく、米軍が南に持ち込んだ核兵器も含める全ての核を同時になくす事によって、朝鮮半島が非核化世界の先駆になる事を意味する。 ここには、朝鮮だけの一方的な武装解除の余地はない。

ここに来てアメリカ政府内強硬派から、「リビア方式」だの「北の核・弾道ミサイル開発計画を完全で検証可能な、不可逆的な方法(CVID)廃棄するのが先」だのとハードルをあげ、朝米首脳会談を頓挫させようとする動きが表面化してはいる。

だが、ポンペオ国務長官が9日平壌を電撃訪問、朝鮮側と接触交渉し「数十年の間、我々は敵国の間柄だった。これからはこのような葛藤を解決し、世界に向けた脅威を消し去りたい。 あなたがたの国が、得る資格のある全ての機会を享受できるよう、協力する事が出来るよう希望する」と延べ、「それを達成するために協力する事を約束する」と明かしている。 そう言った意味ではトランプ大統領も本気だということだろう。

アメリカから横田基地に向かう飛行機の中でポンペオ氏は、先の訪朝がトランプ大統領訪朝が可能か条件を確認するものであり、今回の訪朝は朝米首脳会談の細部内容を具体的に詰める為のものとも語っている。

もはや朝鮮半島で戦争は決して起こらない。 後はアメリカからも「祝福」を受けて民族の自主的平和統一に向けてつき進むのみだ。(Ψ)

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元記者。 過去に平壌特派員として駐在した経験あり。 当時、KEDOの軽水炉建設着工式で、「星条旗よ永遠なれ」をBGMとして意図的に流しながら薄ら笑いを浮かべていた韓国側スタッフに対し、一人怒りを覚えた事も。 朝鮮半島、アジア、世界に平和な未来が訪れんことを願う、朝鮮半島ウォッチャー。 現在も定期的に平壌を訪問している。