21日、東アジアの二つの国で国政に絡む選挙が行われた。 一つは日本で。そしてもう一つは朝鮮でだ。
日本では第25回参議院議員通常選挙が行われた。 同日、朝鮮では道(直轄市)・市(区域)・郡人民会議代議員選挙が行われた。
一方は国政の行方を占う国会選挙であり、もう一方は統一地方選挙なのだが実に対照的な様相を見せた。
なんといっても、二つの選挙の投票率の違いは際立っている。
今回の日本の参院選の投票率は48.80%、戦後2番目に低い投票率だったのに対し、朝鮮の代議員選挙では最終投票率が99.98%に達した。 その差、実に2倍以上の高投票率だ。
無論、日本と朝鮮とでは社会制度の違いと同様、選挙制度にも違いがある。 また、今回行われた選挙の性質も違うものだから一概には比較しきれないのだが、それにしても、日本の投票率の低さは異常と言わざるを得ない。
こういった事を書くと決まって「朝鮮の選挙には選択肢がないじゃないか」「脅されて強制的に参加させられているに決まっている」「賛成票しか入れられない」というような非難や反論を投げかける人がいる。 しかしそうではない。
朝鮮の代議員選挙の流れを大まかにみると、①先ず所属団体や職場から候補者が推薦され、②朝鮮労働党機関の批准を得た後に候補として各選挙区に正式登録・公示、③選挙区別投票場で有権者が信任(賛成)・不信任(反対)の選挙票を投じるといった流れになる。
だからと言って有権者が皆100%信任票を投じるかというとそういうものではない。 当然の事ながら、中には不信任票も出てくる。 「人」が住む社会なのだから。 「99.98%」という数値はあくまでも投票率、それだけの有権者が「選挙に参加して意思表示をした」ということの反証であり、全員が信任を示したという意味ではない。
それでも朝鮮の国民は、自身の参政権をしっかりと行使して意思表示していると言える。 なぜなら、自身が行使する一票が自身の生活と密接に結び付いていることを知っているからだ。
振り返って日本ではどうだろう。
事前に投票日の告示もあった。 選挙の宣伝告知もあった。 期日前投票期間もあった。 にも拘らず、結果がこの低投票率だ。
もちろん、政治に関心を持ち、積極的に関り、自身の意思を実現しようとする有権者もいる。 しかし、多数の有権者があまりにも無自覚ではないだろうか。
「政治はよくわからない」「政治に関心がない」「政治はなんとなく憚られるもの」「政治は政治家がやるもの。 任せておけばいい」などの意見・主張をよく耳にするが、果たして本当にそうだろうか。
国の政治が変われば、国民生活も、経済も、国の在り方も当然変わってくる。 それを良くするも悪くするも、全て国の主たる国民=有権者の意思と選択次第だ。 しかし、せっかく持ち得る素晴らしい権利も、正しく行使しなければ意味をなさないし何も変えられない。 「お上任せの他人任せ」では、自身の人生と生活において自身が「真の主人公」になれないのではないだろうか。 ふと、そんな思いが頭を過った。
日本で生まれ育ち暮らす一人の在日外国人として、日本の有権者の皆様にはせっかくの投票権を無駄にせず自身の正当な権利をしっかりと行使して欲しい。 今回の参院選の低投票率を見て強く思った。(Ψ)
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