非核化、「包括的合意後に段階的アプローチ以外ない」 米元高官らが指摘

朝鮮問題に関わった米国の元高官らが、朝米非核化交渉で進展を遂げるには包括的な非核化合意後に段階的にアプローチする以外に方法がなく、朝鮮側の意味のある非核化措置に対して経済制裁の緩和等を検討することを提言している。

2017年3月から2018年7月まで米国務省次官補代行を務めたスーザン・ソーントン前次官補代行は、朝鮮の非核化を究極の目標にして、長い時間がかかったこの目標に向かってどのような手順を踏むのかを把握することが重要だと主張した。

ソーントン前次官補代行は、朝鮮が非核化の真正性を示すための最初の措置として寧辺とその他の核施設を廃棄しなければならないとしつつ、寧辺の核施設とウラン濃縮施設の廃棄に対する何らかの経済的誘因を米国が提供する必要があると強調した。

これは、朝鮮がハノイ朝米首脳会談で提示した寧辺の核施設だけでなくウラン濃縮施設まで廃棄する場合、米国がいくつかの制裁の猶予・緩和を考慮するというものだが、「行動対行動」「等価交換」の観点から見る場合、朝鮮側からすると均衡を欠く不誠実な対応だといえる。 制裁の廃止が求められよう。

ジョセフ・ユン元国務省対北朝鮮政策特別代表は、非核化はステップバイステップ手順の他に方法はないと指摘、非核化のための措置を多く取るほど非核化が行われる可能性はより大きくなると説明した。

一方、1994年当時に米国務省北朝鮮核特使として「ジュネーブ合意」を導き出したロバート・ガルーチ ジョージタウン大学客員教授は、核物質の生産中止と濃縮施設の閉鎖を最も重要な非核化段階の開始として挙げた。 米国は非核化の初期段階で朝鮮が核物質の生産を停止し濃縮施設を閉じることを期待しており、これが現実的な重みがある段階の開始という認識だという説明だ。

ガルーチ元特使は、朝鮮が何を望むのかを確かめた後に、UN加盟国の同意を必要とするUN制裁ではなく米国の独自制裁の一部を緩和する方案があると指摘した。

元高官らの主張は、朝鮮の非核化は段階的に進めざるを得ず、朝鮮側の措置に対し米国側も相手方が納得する水準の具体的行動措置を取る必要があるとの認識でおおむね一致しており、米国が用意出来る最も現実的な「新しい計算法」だと言える。

スポンサードリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

ABOUTこの記事をかいた人

元記者。 過去に平壌特派員として駐在した経験あり。 当時、KEDOの軽水炉建設着工式で、「星条旗よ永遠なれ」をBGMとして意図的に流しながら薄ら笑いを浮かべていた韓国側スタッフに対し、一人怒りを覚えた事も。 朝鮮半島、アジア、世界に平和な未来が訪れんことを願う、朝鮮半島ウォッチャー。 現在も定期的に平壌を訪問している。