朝鮮で石炭ガス化進む、地方、大規模工場でも・・・禁輸制裁無力に

高麗ジャーナル

朝鮮労働党機関紙「労働新聞」、インターネットニュースサイト「朝鮮の今日」などの報道によれば、朝鮮で石炭のガス化が国家的プロジェクトととしてだけではなく、郡単位の地方、大規模な企業所などにも広がり、化学工業の原料、資材、合成燃油(ガソリン、ディーゼル油)など燃料の国産化が大きく進んでいる。

11月3日付け「労働新聞」によれば、江原道通川郡では石炭ガス化による「通川合成燃油工場」建設が最終段階に入ったという。 この工場は郡での原料、資材、燃料の国産化のために江原道が作った合成燃油の研究導入グループによって進められ、完成、操業すれば各種地方工場と大きな漁港を抱える通川郡の経済を活性化する転機になるという。 通川といえば、北朝鮮との協力事業を進めた鄭周永現代グループ元会長(故人)の生まれ故郷として知られている。

また温泉リゾート開発で知られる平安南道陽徳郡では地方工場の再整備がすすんでおり、その目玉が石炭ガス化プラントを導入した化学工場の建設。 建設はすでに最終段階で、石炭ガスによる発電設備を整え、各種の化学製品と合成燃油を生産する計画。

石炭ガス化の波は地方行政だけではなく、大規模な工場、企業所にも波及している。

未来科学者通り、黎明通り、温泉リゾート建設など、大規模な建設プロジェクトに建材を供給している平壌建材工場ではすでに石炭ガス化工程を整え、焼成炉の燃料であるディーゼル油を独自で生産している。 ディーゼル油を輸入していた時に比べ経費を大幅に削減、建材生産を安定化させた。(「今日の朝鮮」11月1日)

また西海岸に位置するリョンナム造船所では石炭ガス発電設備を独自で設置して造船所の電力需要を満たしている。 この工場は小さな漁船の修理工場だったが、今では5000t級の貨物船建造能力を持つ、貨物船と漁船の建造、修理、船の解体も行う従業員数千人規模の造船所に発展した。 この造船所では規模拡大につれて増す電力需要を満たすために、まず1000㎾h能力の石炭ガス発電設備を設置し、需要の増大とともに中小規模の分散型石炭ガス発電所を設置したとのこと。

「労働新聞」(11月2日)は、同造船所は本業ではないが、十を越える他の企業所、工場からの要請をうけ石炭ガス発電所を設置し大きな利益生んでいると伝えている。

朝鮮で地方にまで広がる石炭ガス化の波は、「最大の圧迫」とされる禁輸制裁を無力化させている。

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元記者。 過去に平壌特派員として駐在した経験あり。 当時、KEDOの軽水炉建設着工式で、「星条旗よ永遠なれ」をBGMとして意図的に流しながら薄ら笑いを浮かべていた韓国側スタッフに対し、一人怒りを覚えた事も。 朝鮮半島、アジア、世界に平和な未来が訪れんことを願う、朝鮮半島ウォッチャー。 現在も定期的に平壌を訪問している。