トランプ政権の対朝鮮最大圧迫戦略の実効性について、圧迫を強化しなければならないという主張と現状では適切ではないという相違する意見が、米国の専門家の間で行き交っている。
ジョン・ルード米国防総省政策担当次官は28日、米下院軍事委員会の公聴会で、最大圧迫戦略がなければ北朝鮮が交渉の場に戻って来ないだろうとの見解を示したが、一部の専門家はこれに同意してトランプ政権が最大圧迫戦略を強化しなければならないと主張している。
「ヘリテージ財団」のオリビア・エノス先任研究員は29日、ルード次官の発言に同意を示し、「米国は最大圧迫が実際に最大になるようにしなければならない」と主張、朝鮮の安保だけでなく人権を狙った大規模な制裁を十分に活用し、朝鮮が「善意」を持って交渉の場に復帰するように仕向けるべきだと主張した。
米韓連合軍司令部作戦参謀出身のデビッド・マックスウェル「民主主義守護財団」上級研究員は、「象徴的な」側面で最大圧迫戦略の結果があるとし、最大圧迫戦略は朝鮮に対する制裁だけを意味することではなく「積極的な外交」「軍事態勢と抑止力」などが含まれると主張した。
一方、対朝鮮最大圧迫の効用性に対する異論と、今後の方向について異なる見解を示す専門家らもいる。
米国務省出身のジョセフ・ディ・トーマス ペンシルベニア州立大学教授は、北朝鮮専門ウェブサイト「38ノース」への寄稿文で、現在の外交及び政治環境でトランプ政権が最大圧迫戦略を用いたり、強化するのは難しいだろうとの見解を示している。
ディ・トーマス教授は、中国が交渉を通じた朝鮮の核問題の解決に執着しており、程度は異なるが韓国も立場が似たような状況でこれらの国が朝鮮への圧力を高めようとしていないと指摘、米国が最大の圧迫に先立ってしなければならないことは、追加制裁をせずに信頼しうる姿勢を持って交渉に臨む用意があることを関係国に向け立証することだ主張した。
チョン・パク ブルッキングス研究所上級研究員は、他国との関係や同盟を考慮した時、制裁を「特効薬」のように考えてはならないと主張した。
彼は「中身のない」1次朝米首脳会談以降、最大圧迫戦略はうまく施行されなかったと指摘、朝米首脳間の交流を見ながら、他国も最大圧迫戦略を実施する必要性を感じなかったはずだと分析した。
米国益研究所のハリー・カジアニス局長は29日、米国が過去25年の間に朝鮮に圧力をかけたが得たものは何もなかったと主張、このような失敗が、米国が最大の圧迫戦略を放棄しなければならないということを意味するわけではないが、圧迫では非核化を達成出来ないとの見解を示した。
カジアニス局長は、「核保有国」である朝鮮は圧迫に屈服しないだろうと指摘し、制裁はむしろ朝鮮が核兵器に専念するように仕向けるだろうと強調した。
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