「0」と「755533」

コリョ・ジャーナル

「朝鮮で新型コロナウィルスの感染確定者が発生した」という。 無論事実ではない。 だが、まるでそれが事実確認されたかのように西側メディアが報じている。 実に質が悪い。

米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)は17日夜、「関係筋」の話として、朝鮮当局者が3月末に一般国民向けの講演で新型コロナウィルス感染者が国内で確認されたと述べたと報じ、ロイターがそれを後追いした。

RFA曰く「講演者は感染者数には言及せず、平壌、黄海南道、咸鏡北道で感染例が確認されたと述べた」という。

問題は、件のデマ情報の源が「関係筋」とされていることだ。

では実際はどうか? 新型コロナ対策と関連、朝鮮は朝鮮中央通信を介して「伝染病の流入の些細な空間も徹底的に遮断するための国家的な緊急防疫事業がさらに深化している」「平安北道、黄海南道、慈江道、江原道、咸鏡南道、開城市では、医学的監視対象者が全て解除され、現在、全国的に約500人が残っているのみ」(3日付)と明かした。

これを裏付けるかのように、世界保健機関(WHO)も7日(現地時間)、「朝鮮の保健省から毎週報告を受けている」「朝鮮国内感染者は0人」と発表している。

WHO平壌事務所長は、ロイターとの電子メールインタビューで「今月2日まで、朝鮮国内の外国人11人と住民698人など計709人が、コロナ19の診断テストを受けたと報告を受けたが感染者がいたと言う報告はなかった」と語った。

朝鮮は、国民の生命と安全を最優先に置いて新型コロナウィルスの流入・拡散を防ぐために国家非常防疫体系に転換、「予防医学的な保健医療システム」を最大限に発動している。

もし、朝鮮から新型コロナウィルス感染確定者が発生してそれが急速に拡散された場合、朝鮮は国家非常事態を宣言しただろうし、国際社会から支援の手がさし述べられ朝鮮もそれを受け入れたはず。 しかし現実的には、新型コロナ関連の診断キットと酸素呼吸器、医療用マスクなどの医療器具が米国の対朝鮮制裁対象になっているため国際社会の支援は実効性を発揮しなかっただろうし、実際には朝鮮は支援を必要としていない。

そもそも、件の報道の元ネタを報じたRFAは米政府のプロパガンダ放送。 未だ朝鮮を敵視し否定することに余念がない。

そこには、新型コロナウィルス事態を利用して、感染拡大の責任を朝鮮当局に押し付け「医療システム」「人権」「社会制度」などと関連した否定的なイメージを拡大せんとする米国の悪意が垣間見える。

しかしながら、米国の内情を見ると、新型コロナウイルス感染症による死者は19日午後時点で40461人、米国内の発症例数は755533例を超えている(米ジョンズ・ホプキンス大学の統計)。

あらぬ憶測で、「感染者数なし」とする朝鮮の報告を疑うのは米国の勝手だが、先ずは「世界最多の発症者数」を抱える自国内の問題を解決してみてはどうだろうか。(Ψ

スポンサードリンク
コリョ・ジャーナル

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

ABOUTこの記事をかいた人

元記者。 過去に平壌特派員として駐在した経験あり。 当時、KEDOの軽水炉建設着工式で、「星条旗よ永遠なれ」をBGMとして意図的に流しながら薄ら笑いを浮かべていた韓国側スタッフに対し、一人怒りを覚えた事も。 朝鮮半島、アジア、世界に平和な未来が訪れんことを願う、朝鮮半島ウォッチャー。 現在も定期的に平壌を訪問している。