朝鮮、首脳会談ハードル上げる米強硬派を牽制

朝鮮は16日板門店で開催予定だった南北高位級会談を無期限延期すると公式発表した。 朝鮮中央通信が16日伝えた。

朝鮮は11日から始まった米韓航空戦闘訓練「マックスサンダー」について、朝鮮侵攻を想定したもので南北関係が改善しようとする中での挑発行為と指摘、朝鮮に対する「最高の圧迫と制裁」を引き続き加えようとする米国と韓国の変わらない立場の反映だ非難した。

朝鮮はその上で「アメリカはこの挑発的な軍事騒動を踏まえ、予定されている朝米首脳会談の運命について熟慮しなければならないだろう」と警告を発した。

南北高位級会談は16日午前10時から、板門店の韓国側施設「平和の家」で予定され、朝鮮側からは祖国平和統一委員会の李善権委員長が、韓国側からは趙明均統一部長官が参加する手筈だった。

今回の朝鮮側の措置は、南北和解と民族自主の姿勢をはっきりと示せない韓国に対する反発と言うよりは、南北和解に水を差し続けるアメリカに向けた警告の意味合いがより大きい。

朝米首脳会談の開催が公にされて以降、アメリカでは、ボルトン安全保障担当補佐官が「朝鮮に対し核兵器のみならず生物化学兵器の廃棄も迫る」と発言するなど、対朝鮮強硬派が当初全く出ていなかった話題を切り出して、会談のハードルを意図的に上げて妨害しようとする動きが露骨化している。 これに対し、朝鮮が牽制の一発をくらわせた形だ。

朝鮮は原則的な言動を取る国だ。 やると言ったらとことんやるし、やらないと言ったら絶対にやらない。 誠意を以て接してくる相手にはしっかりと応えるし、その逆もまた然りだ。

仮に朝米首脳会談が頓挫したとしても、朝鮮は今までもこれからも我が道を行くだけだ。 何も変わらない。 反って、都合が悪いのはトランプ大統領の方だろう。 中間選挙の勝利、自身の人気取り、「ノーベル平和賞」受賞の夢、二期目の再選、全ては対朝鮮政策での「大きな成果」に掛かってくるからだ。

米国務省は15日(現地時間)、「朝鮮の金正恩委員長はこれまでに米韓軍事合同訓練継続の必要性と有用性に理解を示している」とわざわざ強調、「トランプ大統領と金委員長との会談の計画を引き続き進めていく」とコメントを発表した。

トランプ大統領はしっかりとハンドルを握って、強硬派の反発を押さえ込まなければならないだろう。 迫る朝米首脳会談、しっかりと成果を出すには、大統領が平壌を訪れるしかないかもしれない。

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元記者。 過去に平壌特派員として駐在した経験あり。 当時、KEDOの軽水炉建設着工式で、「星条旗よ永遠なれ」をBGMとして意図的に流しながら薄ら笑いを浮かべていた韓国側スタッフに対し、一人怒りを覚えた事も。 朝鮮半島、アジア、世界に平和な未来が訪れんことを願う、朝鮮半島ウォッチャー。 現在も定期的に平壌を訪問している。