朝鮮労働党第8回大会は、労働党と革命に提起された重大な問題に対する真摯な討議を行ったことに基づいて、決定書「朝鮮労働党中央委員会第7期活動報告に提示された課題を貫徹することについて」を全会一致で採択し閉幕した。
総括報告と規約改正、総書記と執行部選出
5日から12日まで行われた8回大会は、朝鮮労働党事業総括、中央検査委員会事業総括、朝鮮労働党規約改正、朝鮮労働党中央指導機関選挙の順で行われた。
大会で朝鮮労働党総書記に就任した金正恩元党委員長が5日から7日まで、党中央委員会第7期活動の総括に対する報告を行った。
「労働新聞」(9日付)は「現段階での朝鮮革命の進路を明示した党中央委員会第7期活動報告の真髄は、われわれ自らの力、主体的力量を全面的に強化して現存の脅威と挑戦を果敢に突破し、朝鮮式社会主義建設で新たな飛躍を起こし、確実な前進を遂げなければならないということである」と報じた。
この報道から明らかなように、報告の肝は、「自らの力、主体的力量を全面的に強化して現存の脅威と挑戦を果敢に突破」するということ。 報告の詳細については、朝鮮のマスコミが詳しく報じており、また本サイトでも骨子と詳細を紹介しており、内容は省く。
大会では、朝鮮労働党の規約が改正された。
規約改正では、金日成・金正日主義をより浮かび上がらせ、党の最高綱領と社会主義基本政治方式をはっきりと定め、党の組織形式と活動規範を一部修正補充した。党規約序文で、党の最高綱領である全社会の金日成・金正日主義化について規制し、人民大衆第一主義政治を社会主義基本政治方式に正式に定めた。 また、強力な国防力で根源的に軍事的脅威を制圧して朝鮮半島の安定と平和的環境を守護することなども定めた。 さらに、党の指導力を一層高めるために、党委員会職制を書記職制にし、政務局を書記局にするなど、規約を改正した。
周知のように大会では、金正恩党委員長を朝鮮労働党総書記に全回一致で推戴した。
党大会ではまた、党中央委員会委員139名、委員候補111名を選出され、同日党中央委員会第8期第1回総会が行われ、朝鮮労働党総書記を首位とする党中央委員会政治局と政治局常務委員会を選挙した。 政治局常務委員には、金正恩総書記をはじめ、崔龍海、李炳哲、金徳訓、趙甬元の各氏が選出された。 また第8期を担う、政治局、書記局、書記、軍事委員会、検査委員会、部長職メンバーが選出された。
党第8回大会の特徴
党第8回大会の特徴は、金正恩総書記が大会を締めくくる結語で指摘したように、「これまでの党大会とは異なり、今回の大会で自己の活動を肯定的な面ではなく、批判的な立場に立って冷静に分析、総括した」したことに基づき、それを「是正するための決定的な対策を講じ」たことにある。
そのために党中央委員会は大会前に非常設中央検閲委員会を設置し、下部に派遣して実態を把握し、現場で働く労働者、農民、知識人党員の意見を真摯に聞き、誤りをと党の指導における欠点などを解剖学的に調べるなどの措置を講じた。
これに基づき、大会では、第7期党中央検査委員会の活動総括も批判的に厳正に行い、党事業と党活動で以前の古いもの、現実とかけ離れていた諸問題を党建設の原理に合うように是正する決定的な対策を講じ、規約も改正し、第8期の執行部も選出した。
党大会の基本精神
金正恩総書記が結語で党大会の基本精神について次のように言及した。
「社会主義建設の主体的な力、内的原動力を一段と強化し、各分野において偉大な新たな勝利を達成しようというのが朝鮮労働党第8回大会の基本思想、基本精神です。 言い換えれば、われわれの内部の力を全面的に整備し再編成し、それに基づいて全ての難関を正面突破して新しい前進の道を切り開かなければならないというのが、本大会を通じて再確認された朝鮮労働党の革命的意志です」
金正恩総書記はまた、朝鮮革命に提起された重大な歴史的課題は、全党が以民為天、一心団結、自力更生を今一度肝に銘じ、さらに高く掲げていくことを求めていると強調し、次のように指摘した。
「『以民為天』『一心団結』『自力更生』、まさにここにわが党の指導力を強められる根本的秘訣があり、わが党が大衆の中に一層深く根を下ろすための根本的方途があり、われわれが唯一に生き続け、前途を切り開くことのできる根本的保証があります」
大会の基本精神から明らかなように、8回大会は、内なる欠点を是正して、主体的な力、内的原動力を最大限に強化し、外的難関を正面突破するための全面的な対策を講じた大会ともいえる。 朝鮮が一昨年末に、米国の一方的非核化、敵視政策に対抗して、経済制裁を正面突破する戦略を打ち出したことは周知の事実。
米国でバイデン政権の発足を控え、米韓日当局とマスコミは、制裁の一部解除などをちらつかせて、非核化を迫る姿勢を見せ、それが可能であるかのような錯覚にとらわれているようだ。
第8回党大会で、米国の敵視政策に対抗して、経済建設とともに戦略兵器などの核抑止力開発を進めるための課題を示したのは、米韓日当局の非核化要求がいかに愚かな行為であるかを物語っている。
最重要課題の経済建設と国防工業
党第8回大会では、社会主義経済建設は、最も重要な革命課題として打ち出し、「国家経済発展5カ年計画」を策定した。 この計画の中心課題は、金属工業と化学工業を経済発展のキーポイントとしてとらえて、基幹工業部門間の有機的連係を強めて実際の経済活性化を促し、農業部門の物質的・技術的土台を強固にし、軽工業部門で原料の国産化の比重を高めて人民生活を一段と引き上げることに定められた。
一部では”制裁解除なしには経済発展は望めない”との声があるが、敵対勢力が流す希望的観測にすぎない。 2017年の“史上最大の圧迫“にもかかわらず、朝鮮の経済はプラス成長を続けており、敵対勢力が「三重苦」と騒いだ昨年にも成長を続け、台風被害を早期に克服、2万世帯の住宅を短期間に新築する潜在力を見せた。
さらに昨年の党創建75周年に際した閲兵式で見たように、国防工業の発展は目覚ましく核抑止力だけではなく通常兵器も先端水準で準備されるに至っている。
党8回大会では、核兵器の小型・軽量化、戦術兵器化、超大型核弾頭の生産、極超音速滑空飛行戦闘部を開発、水中および地上固体エンジン大陸間弾道ロケットの開発、原子力潜水艦と水中発射型核戦略兵器を保有、軍事偵察衛星を運用して偵察情報収集能力を確保等の課題が示された。
一方、習近平中国共産党中央委員会総書記は金正恩委員長が朝鮮労働党総書記に選出されたのを祝い、11日祝電を寄せ、中朝関係をさらに発展させる方針を示した。
朝中関係はもはや、2017年の最大限の制裁時とは異なり関係改善が進んでおり、制裁の効果も朝鮮の自力、自強路線によって限定的範囲にとどめられている。
限界に達しているのは米国の制裁であり、第8回党大会は、制裁では朝鮮の経済、国防建設を破綻させることは不可能で、その進展を止めることができないことをはっきりと示したと言えそうだ。(M.K)
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