去る17日、崔善姫朝鮮外務省第1次官は、米国の対朝鮮敵視政策が撤回されない限り、米国の接触の試みを無視すると述べ、新しい変化、新しい時期を感じ取り、受け入れる準備もできていない米国と対座しても大事な時間だけが無駄になる、と指摘した。
さらに崔第1次官は、シンガポールやハノイでのような機会を二度と与えない、米国がよく使う制裁といういたずらも、我々は喜んで受けて立つ、とも述べた。
敵視政策の撤回なしには朝米対話に応じない
敵視政策の撤回なしには朝米対話に応じないとの姿勢は、朝鮮が昨年から明らかにしてきた。 また米国の制裁に対しては、自力更生で正面突破するとの姿勢も再三に渡って表明してきた。
しかし米国は、朝鮮は制裁によって苦しい立場に追い込まれており、制裁解除のためにも対話に応じざるを得ない、と解釈してきた。 また、バイデン政権が、朝鮮が好むトップダウンを否定しており、朝鮮はより苦しい立場になると予測していた。
したり顔で上記のような分析を繰り返してきた米韓日の“専門家”にとっては残念なことだったのではないか。
我田引水に過ぎる分析はすべてはずれて、バイデン政権の対話提案は拒否された。 朝鮮の立場表明を“大言壮語”と勘違いした分析のまぬけさを世間に晒した。
崔第1次官が指摘したように、新しい変化に対応できない鈍感さの結果だろう。
ヨーロッパのある政治評論家が、米国は朝鮮との問題で「三つの過ち」を犯している、と述べたという。 朝鮮に対する不確実な把握、適切でない接近法、目標を非現実的な「先非核化」に定めたことーが「三つの過ち」だという。
的を射た指摘ではなかろうか。
制裁の“威力”を信じて朝鮮の自力更生による正面突破を不可能の一言で片づける愚かな判断、馬鹿の一つ覚えのような制裁に頼る接近法、朝鮮が「国歌核戦力を完成」させ、朝米関係が非核保有国対核保有国の関係から核保有校同士の関係に変化したにも関わらず、これに対応できない旧態依然とした米国の姿勢。 すでにアドバンテージがないということを感じ取れずに相変わらず「先非核化」の非現実的な目標を追求している。
破綻した圧力政策を繰り返すバイデン政権
バイデン政権は朝米首脳会談を行ったトランプ政権の対朝鮮政策を非難しながら、失敗を繰り返さないと表明、「北朝鮮政策の見直し」を行うとしてきた。
まだ「見直し」結果は発表されていないが、この過程で見えてきたことがある。
「北朝鮮の完全な非核化に専念する」とのブリンケン発言にみられるように、政策目標を「北朝鮮の非核化」に定め、また米韓合同軍事演習強行に見られるように軍事的威嚇と圧力、さらにマレーシアで貿易に従事していた朝鮮人男性を、マネーロンダリングをでっち上げ米国に移送した国家拉致に見られるように制裁の強化―が「見直し」の柱であるということだ。 「外交、関与」についても述べているが「北非核化」という目標のための手段に過ぎない。
トランプ政権の政策を失敗と非難しているバイデン政権の「北朝鮮政策の見直し」が、驚くほどトランプ政権の対朝鮮敵対視政策と瓜二つであることにお気づきだろうか。
トランプ政権は、米韓合同軍事演習の中止を約束したが、その舌の根が乾かぬうちに軍事演習を続けて行い、ハノイ首脳会談では「リビア方式」を持ち出し朝鮮に一方的非核化を迫った。 さらに史上最大の制裁を云々しながら圧力をかけ続けた。
トランプ政権とバイデン政権の対朝鮮政策の違いがどこにあるのか、わかる人がいればぜひ教えてほしい。
朝鮮外務省は2018年12月13日に発表した、チョンヒョン氏の論評「時間は米国の愚かさを教えてくれるはずだ」で次のように指摘した。
「人間の行為で最も愚かな行為は『失敗をしないために失敗をする』自家撞着である。 対朝鮮制裁圧迫に執拗にしがみつく米行政府の行動が、前ホワイトハウス主人の『戦略的忍耐』とどれほど一脈相通じるものなのか、今、第3期オバマ政権が執権しているのか錯覚するほどだ。 『同じことを繰り返しながら違う結果を望むこと、それを狂気という』との、アインシュタインの明言を想起してみることを忠告する」
失敗を繰り返さないと言いながら「三つの過ち」をくり返そうとするバイデン政権。 同じ方法で異なる結果を得ようとしており、何をか言わんやだ。
経済制裁を自力更生で正面突破する
ブリンケンは圧力で「北朝鮮を交渉の席に座らせる」と豪語する。 ソウルで行われた韓米2+2後の記者会見でブリンケン国務長官は、中国を口汚く非難する一方、「北朝鮮政策」と関連しては、中国は「極めて重要な役割を果たすことができる」、「北朝鮮を説得し、非核化を実現させること」と強調した(聯合ニュース、18日)。
「中国の協力」で朝鮮に対する圧力を強めようとする米国の意図の表れだ。 トランプ政権は2017年末、「火星15」の発射実験を受けて、中国を巻き込んだ制裁で「史上最大」を豪語した。 それからすでに3年が過ぎたが、朝鮮を追いつめることができなかったことは明らかだ。
バイデン政権はトランプ政権と同じことをして違う結果を得ようとしている。 アインシュタインに言わせれば「狂気」だが、当のバイデン側近たちは真剣に取り組んでいるように見える。
米国が中国と激しく対立しながらそれが可能なのか、という議論があるが本質問題ではない。 可能であれ不可能であれ、前任者のように失敗を繰り返すことになることは明らかだ。
朝鮮はいかなる政治的、軍事的圧力も、経済制裁も通じない、核武装した戦略国家だ。 米国を照準に収めた核兵器を保有しており、東北アジア情勢を主導する力を備えた。 誰も朝鮮の意向を無視して地域情勢を主導することはできない。
米国の核の脅威は相殺され、朝鮮の核兵器は米国にとって最大の脅威になっていることは米国も認めるところだ。
朝鮮は経済制裁を自力更生で正面突破すると宣言している。
これを根拠もなく不可能と決めつけ「中国の協力」を得て圧力を強めれば手を上げるだろうと考えるのは極めて愚かだ。
はっきり言って、朝鮮の自力更生はもともと周辺大国の大国主義をはねのけ自主を堅持するためのものだ。米国との経済関係はもともとなく直接的な対米自力更生ではない。
米国の経済制裁は中国とロシアを巻き込むことではじめて効果を発揮できるが、朝鮮の自力更生の歴史は長くこれをはねつける土台と力を持っている。
資源国である朝鮮にないのは原油とコークス。 エネルギーと化学工業、鉄鋼生産に直接かかわるものだが、朝鮮ではすでにこの問題を解決する技術を開発し土台を築いた。
党8回大会で、金属工業と化学工業に力点をおく5カ年計画を立てたことは偶然ではない。 また食料の自給自足も基本的に実現しており、朝鮮の体制を揺るがしえる制裁手段は存在しない。 米国が、まさか砂糖が足りなくて、朝鮮が核兵器を差し出すと考えているわけはあるまい。 さらに一部で“外貨“を云々しているが、朝鮮が世界でも有数の金埋蔵国であることを忘れないほうがいい。
最後にもう一度言おう。
「同じことを繰り返しながら違う結果を望むこと、それを狂気という」(M.K)
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