平壌2018春 ④メードインDPRK

「おおお、これは?!」 手に取って思わず声を上げてしまった。

今回の訪朝は短期訪問だったため限られたスケジュールの中だったが、高麗ホテルに立ち寄る機会があったので、懐かしさと、どう変わったのかを見たいという好奇心から1階の売店を覗いてみた。

当時(といっても20年も前の話だが、)利用した際には、いわゆるお土産品を除いて販売されていた食料品などは日本製品や中国製品が多く、朝鮮国産の製品数は多くはなかった。 パッケージングデザインなどもパッとせず味もイマイチ、正直、そんなに魅力的とは言い難かったと記憶している。

商品棚に陳列されている商品類は一見、大して変わっていないようにも思えた。 棚いっぱいに並べられたお菓子類に目をやる。 が、何かが違う。 よく見ると、中国製品とばかり思っていたお菓子類の殆どが国産製品ではないか。

高麗ホテルで販売していた朝鮮のお菓子。 格段に良くなっている。

クッキー、ビスケット、フライスナック菓子、ガム等、パッケージを見ると、それこそ中国や韓国製品、モノによっては日本製品と見紛うデザインとクオリティだ。 どちらかというと色彩色調は韓国製品に似ているかも。 その辺りはやはり同じ民族、好みや感性が似通うのも無理からぬ事かと妙に納得いった。

手に取って確かめてみる。 箱もしっかりとした作りだ。 うん、デザインも悪くない。 店内ディスプレイ、商品の撮影は残念ながらNGとのことなので、試しにサンプルとして数品買ってみた。 不覚にも価格をよく確認せずに買ってしまい、個々の値段が判らないのだが(次回訪朝時に調べる)、ボトルタイプ風船ガム、ビスケット、クッキー、ワッフル菓子、ピーナツチョコボール、杏仁チョコボールとまとめ買いで、日本円で860円の支払いだった。

試しで、ボトル風船ガムと杏仁チョコボールを開封して、バスの中で皆で味見してみる。 普通に美味しい、日頃慣れ親しんでいる日本のモノと変わらない。 朝鮮のものだと教えられなければきっと判らないだろう。

ピーナツチョコボール。 ソンフン食料工場製

このようなお菓子類が一体どこで作られているのか気になった。 それらのお菓子のパッケージを見ると、メーカーの違いこそあるが、全て万景台区域内の工場で生産されていることが判った。

今回、そのような工場のうちの一つ、金カップ体育人総合食料工場を見学する機会があった。

この工場は朝鮮国内のアスリートたちの栄養供給食糧基地として発足したが、現在では、栄養機能食品以外にも各種菓子類とパン等も生産されている。 特に金カップ印のパンは大人気で、店頭に並ぶとすぐに売り切れてしまう程だという。

なるほど、確かに宿所の平壌ホテルの売店に行ってみると、そこにも金カップ印のお菓子が沢山並んでいた。 金カップ印のパンも売っていた。 逆に高麗ホテルの売店で購入したメーカーのお菓子を見かけなかったぐらいだ。

それにしても、朝鮮のお菓子、否、食料品製造レベルは格段に上がったと感じ入った。

これは間違いなく、「経済制裁」の中でも外国から技術をしっかり学びとり、自力更生・自立経済を掲げて自主的経済システムを貫いてきた成果だろう。 朝鮮のプライドと意地、流石だと思った。

余談だが、このお菓子をなんとか日本に持ち帰って紹介したいと思い、「日本の独自制裁」による全没収も覚悟の上でトランクに詰め込んだ。 幸運にも今回は税関を無事通過、持ち帰ることが出来た。

事情説明と紹介がてら、知人らにお菓子を試食してもらったのだが、結構好評だったらしい。 ただ、ワッフルだけはお味がイマイチだったとのこと。(Ψ)

スポンサードリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

ABOUTこの記事をかいた人

元記者。 過去に平壌特派員として駐在した経験あり。 当時、KEDOの軽水炉建設着工式で、「星条旗よ永遠なれ」をBGMとして意図的に流しながら薄ら笑いを浮かべていた韓国側スタッフに対し、一人怒りを覚えた事も。 朝鮮半島、アジア、世界に平和な未来が訪れんことを願う、朝鮮半島ウォッチャー。 現在も定期的に平壌を訪問している。