半島平和への南北の強い意志示す
朝鮮の金正恩国務委員長と韓国の文在寅大統領が26日、板門店北側の統一閣で面談、4月27日の初会談から29日ぶり、2度目となる南北首脳会談(通算では4回目)が電撃的に行われ、世界を驚かせた。
今回の会談は25日に金委員長から文大統領に要請があり実現されたもので、事案の重大性から徹底して秘密裏に準備設定された。
27日午前に南北双方でで明らかにされた内容によると、両首脳は前回会談で合意した板門店宣言を迅速に履行し、朝鮮半島の非核化を実現し、地域の平和と安定、繁栄を成し遂げるために解決すべき問題と現在、北と南が直面している問題、朝米首脳会談の成功裏の開催のための深みのある意見を交換した。
両首脳は4.27板門店宣言が一日も早く履行されるように双方が互いに信頼し、配慮し、共同で努力しなければならないということについて意見を同じくし、南北高位級会談を来る6月1日に開催し、続けて軍事当局者会談、赤十字会談をはじめ部門別会談も加速的に推し進める事に合意した。
両首脳は、朝鮮半島の非核化を実現するために共同で努力するという立場を表明し、今後、随時会って対話を積極化し、知恵と力を合わせていくことについて見解を同じくした。
金委員長は板門店宣言に続きもう一度、朝鮮半島の完全な非核化意志を明確にし、朝米首脳会談の成功を通じ戦争と対立の歴史を清算して、朝鮮半島の恒久的平和と繁栄のために協力する確固たる意志を披瀝した。
文大統領は先の韓米首脳会談について説明、トランプ大統領が朝鮮が非核化する場合、敵対関係を確実に終息させるだけでなく、経済協力を支援する意志を表明した事を金委員長に伝えた。 金委員長としても、首脳会談成功に対するトランプ大統領の明確な意志を確認することができたといえる。
朝鮮中央通信は「北と南の最高首脳が格式ばらず、腹蔵なく重大な懸案について互いの見解を聴取し、率直な対話を交わした今回の対面は北南関係の発展において新たなページを開いたもう一つの歴史的な契機となる。 民族の和解・団結、平和・繁栄の象徴として歴史に刻み付けられた板門店でまたもや行われた第4回北南首脳対面は全朝鮮同胞に新しい希望と活力を与えることになるであろう」と報じた。
トランプ大統領の朝米首脳会談延期表明を受けてからの、南北当局のこの迅速な動きは、自主的平和統一に向けて立ちはだかる困難に対し、民族共同の力で立ち向かう強い意志を再度アピールするものとなる。 また、南北両首脳が必要な時にいつでも膝を突き合わせて相談し、共に対処、解決して行く新たなスタイルと時代の幕上けを内外に示した。
文大統領は記者会見で「朝米首脳会談が成功した場合、南北米3者首脳会談を通じて、朝鮮戦争終戦宣言が推進されたらいいという期待を持っている」と語った。
試されるトランプの本気度
今回の「電撃的な南北首脳会談」は世界を驚かせたが、これに真っ先に喜んだのがトランプ大統領だろう。 一度は頓挫しかけた朝米首脳会談が開催できる可能性が高まったからだ。
トランプ大統領は26日(現地時間)ホワイトハウスで記者団に対し、朝米首脳会談開催について「非常に順調に進んでいる」、「我々は6月12日にシンガポールでの開催を目指している。そのことに変わりはない」と語った。 また、朝米首脳会談が予定通りに開催される可能性に備え、ホワイトハウスの実務陣を27日シンガポールに派遣するとしている。
先だってトランプ大統領は24日、金正恩委員長に宛てた書簡を発表、1度は朝米首脳会談の見合わせる旨を示唆した。 表立っての理由は「朝鮮側の大きな憤怒と露骨な敵対感がある以上、今は適切ではない」というもの。 だが、裏事情は少し違う。
23日の夜、ホワイトハウスでは予定外の緊急会議が開かれた。 参席者はトランプ大統領とペンス副大統領、ポンペオ国務長官、ケリー秘書室長、そしてボルトン国家安保補佐官らの面々だった。
ペンス副大統領がFOXニュースとのインタビューで「朝鮮がリビアの轍を踏む」等と発言したことに対し、崔善姫外務省次官が談話で「彼がどんなに政治的に愚鈍な間抜けであるのかを推測して余りある」と強く非難、朝米首脳会談の見直しを示唆したのを受けてだ。
まかりなりにも「アメリカ副大統領」が「愚鈍な間抜け」呼ばわりされたわけだ。 しかも名指しで。 これではメンツが立たないし、政権掌握力の弱いトランプは政権内の強硬派の猛反対を抑えきれない。
アメリカ側は、朝鮮が会談拒否宣言を発表して全責任をアメリカ側に押し付けようとするであろうと判断、先手を打とうとした。
しかし、自らが先んじて開催を発表した首脳会談を取り下げるのには相応の理由が必要だ。 しかも世界的に注視されている会談だ。 少しでも開催に望みを繋ぎたいトランプ大統領としては、自国のメンツを保ちつつ、朝鮮をなるべく刺激しないような方法を考えた。 それが金正恩国務委員長に宛てた書簡を公開するという方法だったわけだ。
ところが、朝鮮側は金桂官外務省第一次官が委任談話を通し、「トランプさん、我々はアナタが反対論者のせいでとても苦労していることをよく理解している、落ち着いたらまた連絡をよこしなさい」と、度量を示した。
朝鮮が会談を拒否するものとした反対派の主張とは真逆の現象が起き、慌てたトランプ大統領はすぐに、朝米首脳会談が予定通り行われるように準備していると軌道修正した。 トランプ大統領は書簡の発表を後悔したに違いない。 朝鮮が必ず会談を拒否すると主張したボルトンを信じた事を。
この一連の流れで、トランプーポンペオの朝米会談推進派と、ペンスーボルトンの反対強硬派(ネオコン)の軋轢がますます浮彫りになった。
ポンペオ国務長官を40日の間に2度も訪朝させるなど、トランプ大統領の朝米首脳会談に前向きな姿勢自体は変わらない。 金委員長に宛てた「トランプレター」からもその思いは十分読み取れる。
これに対し、ネオコンのボルトンとペンスが「リビア方式」、「米国が求めるのは完全かつ検証可能で、不可逆的な非核化」など、朝鮮側との合意に反する主張を繰り返し、一貫して朝米の歩み寄りにブレーキをかけ続けてきた。
ネオコンのなりふり構わぬ様相に、「軍人」であるはずのマティス国防長官までもが「会談に関して責任も取らずに無責任な発言をする者が多すぎる。 このような人物らの言い分が全て出切るまで放って置く」と苦言を呈するほどだ。
はっきりと言えることは、朝米共に会談を成功させたいという双方トップの意志が確認されたと言うこと。 後は米国内の反対派を封じ込めて、実務協議でさらに細部を詰めて本会談に臨むのみだ。
これ以上ネオコンに振り回されることなく会談開催にこぎつけられるか、トランプ大統領の本気度と度胸が試されている。
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