朝米首脳会談は本当に実現するのか?
気まぐれでわがままなトランプ大統領のことだから、直前になって「やっぱり止めた」と投げ出すものと見る向きもある。
なるほど、確かにそのような可能性が全く無い訳ではない。だがそのような心配は杞憂にすぎない。それはトランプ大統領の前のめりの姿勢からも見て取れる。
その具体例が新・国務長官―新・安保補佐官体制の構築だ。
トランプ大統領はティラーソン国務長官を解任して前CIA長官のポンペオ氏を国務長官に、マクマスター安保補佐官を解任して元国連大使のジョン・ボルトン氏を安保補佐官に任命した。これは朝米首脳会談を推し進めるため、トップダウンを好むトランプ大統領が親政シフトを構築したものと見てとれる。
「対朝鮮超強硬派」として知られるボルトン氏が就任(9日)したことによって、アメリカの対朝鮮外交がゴリゴリのタカ派路線で行くものとの見解もあるが、これはトランプ大統領の朝米首脳会談への本気度を表しているものと見ていい。
ボルトン氏の安保補佐官就任前後の発言を見ると、トランプ大統領の意を汲むような発言が続いているのがわかる。
ボルトン氏は国家安全保障補佐官任命直後の米FOXニュースとのインタビューで、「これまでの発言は過ぎた事であり、重要なのはトランプ大統領の言葉と私が彼に与える助言だ」としながら、トランプ大統領の決定に従う意向を示した。
安保補佐官に任命される前3月24日に行った「ラジオフリーアジア(RFA)」とのインタビューでは、米朝首脳会談に対し「明らかに前例のない発展であり、トランプ大統領にとってもかなり踏み込んだ果敢な動き」との見解を示したうえで「会談は持続されるであろうし、6か月から1年の予備交渉時間を大事にするもの」で「仮に朝米会談が失敗したとしても、朝鮮の核兵器を無くすための軍事オプションは薦めない」とも語った。
また、「過去25年間の失敗を引き継いだ状況下で、トランプ大統領には時間があまり残されておらず、ほかに方法もないため(会談以外の)違う魅力的なオプションがないように見える」と発言、朝鮮の核兵器完成はアメリカの対朝鮮政策の失敗の産物であり、トランプ大統領の対話選択が正しいと強調した。
中間選挙を控え、内憂外患を抱えるトランプ大統領が直面している現実を考えると、朝米首脳会談は大統領に絶好の脱出口、絶大な外交成果を与えるものであり、是非とも成功させたいところだろう。
実務接触が続く中、5月か6月の開催が予想される朝米首脳会談で、世界を驚かせる劇的な動きがあるかもしれない。もちろんそれは世界平和につながる肯定的なものであろうとは思うが。(Ψ)
コメントを残す