朝鮮の住居は伝統的に平屋で、オンドル部屋からなっていました。
床に座って生活する朝鮮の風習に則して工夫され発展してきたオンドルは、床を暖めて室温を上げる熱輻射式暖房設備です。
住居の構造は地方それぞれに幾分違いはありますが、オンドルという暖房方式は共通しています。
オンドル部屋生活では竈側の温かい座を老人に勧め若い人がその周囲に座るのが通例です。
オンドルは大きく、竈、焚き口、床下煙道、煙突から構成されています。
焚き口で火を焚くと、焚き口から部屋の床下へ出た熱い煙が床下の四方に巡らされた煙道を抜けて、煙突から排出されますが、床下を通る際に温石を熱して室温を上昇させます。
オンドルは別名「クドゥル」とも言われますが、元来クドゥルは温石つまりクウンドル(焼け石)と呼ばれていたのが変化して、クドゥルと呼ばれるようになったと言います。
オンドルは床が温められて床下からの湿気と冷気を防ぐので、疾病の予防と治療に優れた効果があります。
構造が簡単で、壁付き暖炉やペチカなどの洋風暖房設備よりも熱効率が高く便利なので、一部外国ではオンドル構造をまねた電気器具を製作・導入して「オンドル」「クドゥル」とよび、辞典の見出しにもなってるとか。
国際標準化機構(ISO)はオンドルの効用を評価し、システムの7項の基準を国際規格として定めました。
現在の朝鮮の都市部住居は殆どが多層アパートですが、近代的なセントラルヒーティング形式のオンドルが採用されています。 なお、農村部では今なおオンドル方式の平屋が大半を占めています。
コメントを残す