朝鮮半島周辺関係国間の外交が目まぐるしい。 南北朝鮮、朝米、朝中、朝ロの政府要人たちが、この2ヶ月ほどの間で活発に接触・会合を繰り広げている。 以下にまとめてみよう。
朝米関係: 目下、全世界から注視されている朝米関係では、史上初の朝米首脳会談開催に向けて、朝鮮とアメリカが板門店、シンガポール、そしてアメリア本国の3カ所で同時に各位チャンネルで実務接触、会談の儀典・警護と合意の具体内容の摺り合せを行っている。
板門店北側地域の統一閣では、朝鮮の崔善姫外務次官とソン・キム元駐韓大使(現・駐フィリピン大使)らが、27日と30日朝鮮半島の非核化と安全保障に関する実務協議を行った。
シンガポールでは、朝鮮のキム・チャンソン国務委員会部長と米国のヘイギン大統領次席補佐官らが、29日から会談場所と儀典・警護などを協議してしている。
ニューヨークでは、朝鮮の金英哲労働党副委員長兼統一戦線部長とポンペオ国務長官が、31日午前9時過ぎ(現地時間)、ニューヨークの米国関連施設で会談を始めた。朝米首脳会談の最終調整を行うとみられる。
金英哲労働党副委員長は6月1日にワシントンD.C.でトランプ大統領と会合する予定。
トランプ大統領は31日の記者会見で、朝米首脳会談について当初の予定通り6月12日の開催を希望すると述べ、一日だけでは全ての問題を議論できないとして、首脳会談が2日以上にわたる可能性を示唆した。 また、金英哲朝鮮労働党副委員長が、トランプ氏に宛てた金正恩国務委員長の親書を携えてきたことを自ら明らかにした。 トランプ大統領が朝米首脳会談に対し、いかに期待しているかを推測できる。
南北関係: 南北間では、金正恩国務委員長と文在寅大統領が4月27日に続いて、5月26日に南北首脳会談を電撃的に行い、世界中を驚かせ、4.27板門店共同宣言の履行と朝鮮半島の自主的平和統一を進める確固たる意志を内外に示した。
これを受けて南北間では6月1日南北高位級会談が開かれ、4.27板門店共同宣言を迅速かつ体系的に履行していくための方策を協議する。 これを皮切りに、スポーツ交流、赤十字会談、南北共同行事、共同連絡事務所設置等、部門別の諸案件が進められてゆく予定だ。
朝露関係: 朝露関係を見れば、ロシアのラブロフ外相が31日朝鮮を訪問、金正恩国務委員長と会談した。 ラブロフ外相は金委員長にロシア訪問を要請した。
これに先立ちラブロフ外相は朝鮮の李容浩外相と会談、朝露最高位級対面で遂げられた合意に基づいて、長い歴史と伝統を有している両国の関係をより拡大して発展させ、朝露外交関係設定70周年を双務関係の発展における実践的結果物で迎えるための問題が討議された。 また、双方は朝鮮の主動的な努力によって肯定的に変化、発展している朝鮮半島情勢をはじめ、互いに関心を寄せる国際問題に対する意見を交換した。
ラブロフ氏は、ロシアが米朝そして朝鮮と韓国の接触を歓迎しており、朝鮮半島の問題解決における全当事国に、「この非常に重要だが、まだ非常に壊れやすいプロセスを頓挫させない責任を持つ」よう呼びかけた。
朝中関係: 朝中間を見ると、金正恩国務委員長が、3月末の習近平国家主席の招請による非公式北京訪問に続き、5月7日、8日に大連で習国家主席と会談を行った。
両首脳は、劇的な変化が起こっている朝鮮半島周辺情勢の推移について分析、評価し、戦略的機会をとらえて朝中間の戦術的協同をより積極的に緻密に強化していくための方途的問題について協議した。 習主席は、中国は親善的な隣邦として朝鮮半島情勢の発展と変化に大きな関心を持ってこの地域の平和と安定のために一貫して努力し、金委員長が最近に取った重大な決断と措置を高く評価、全面的に支持するとした。
以上が各国の主だった動きだが、ここで注目すべきは、朝鮮、韓国、中国、ロシアが全て朝鮮を軸にして朝鮮半島の平和に向けて連動し、アメリカをもその枠内に組み込もうと連携しているように見受けられることだ。
事実、6月9日~10日に開催される上海協力機構会談に習近平国家主席、プーチン大統領、そして金正恩国務委員長が参席して三者会談が開かれ、その後金委員長がシンガポールに飛んでトランプ大統領との朝米首脳会談に望むのではとの憶測まで、まことしやかに流れている(中国聯合新聞)。
ここで気になるのが日本だ。
朝鮮半島問題の重要な関係国でありながら、朝鮮とは全くと言っても良いほどの没交渉だ。
無理もない、「圧力と制裁」の名の下、朝鮮との外交チャンネルを自ら切ってしまい連絡が取れない。
また、この期に及んでも「対話のための対話は必要ない」「北朝鮮に対する圧力を最大限強化する」と的外れな言説を繰り返すだけで、朝鮮半島の和平と朝米敵対関係の解消を快く思わないその内心が透けて見えてしまっている。
そのくせ、アメリカに追従だから始末に悪い。 安倍首相など、「トランプ大統領を全面的に支持する」「日本は100%アメリカと共にある」と言いながらトランプ大統領を後追いする様から、一部で「ストーカー」扱いされる始末だ。
これでは国際情勢をまるで分っていないと言われても仕方あるまい。
せめてもの救いは、休眠状態にあった「日朝国交正常化推進議員連盟」が6月11日から活動を再開することを決めた事だろうか。 日朝議連の再始動が硬直化した朝日関係に風穴を開ける切掛けとなってくれれば、この閉塞状況も少しは変わってくるだろう。
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