5分でわかる朝日関係

朝日平壌宣言

このまま独りとり残されるか、日本はまさに今が正念場。

朝日国交正常化は両国間に横たわる過去の負の歴史を清算し、日本が真に生まれ変わるためには決して避けて通れない歴史的責務だろう。

○1989年3月、竹下首相(当時)は衆議院予算委員会の場で「朝鮮半島をめぐる情勢が新たな局面を迎えているこの機会に、改めて、同地域のすべての人々に対し、過去の関係についての深い反省と遺憾の意を示したいと思う。朝鮮民主主義人民共和国との間においても、朝鮮半島をめぐる新たな情勢に配慮しつつ、先に述べた認識に立脚して、関係改善を進めていきたい」と発言した。 当時の日本の為政者からこのような言が出て来ることは画期的なことだった。

翌年1990年9月には金丸信副総裁を団長とする自民党代表団と田辺誠副委員長を団長とする社会党代表団が訪朝、朝鮮の金日成主席との接見を果たし、海部自民党総裁と土井社会党委員長の親書を伝達した。 この時「朝日関係に関する朝鮮労働党、日本の自自由民主党、日本社会党の共同宣言」(朝日3党共同宣言)が発表され、朝日国交正常化会談を行う運びとなった。

○①国交正常化に関する基本問題 ②国交正常化に伴う経済的諸問題 ③国交正常化に関する国際問題 ④その他双方が関心を有する諸問題を議題として1991年1月から朝日国交正常化会談が開始、1992年11月まで8回の会談が行われたが、真摯な過去の清算の優先的解決を主張する朝鮮側に対し、日本は核問題、「李恩恵問題」の解決を持ち出して議論は平行線をたどり、会談は中断した。

○1993年8月、日本側で画期的なことが起こる。 河野洋平内閣官房長官が談話を発表して「従軍慰安婦問題」について言及、旧日本軍の関与と責任を一部認めた。

1995年3月には、当時の連立与党で会った自民党、社会党、新党さきがけの連立与党代表団が訪朝、「朝日会談再開のための合意書」に署名している。

同年8月15日には村山首相が「戦後50周年の終戦記念日にあたって」談話を発表、日本の侵略戦争責任を認めた。

1999年12月、村山富市元首相を団長とする超党派議員団が訪朝、朝日会談を早期再開することに合意した。これを受けて2000年4月から朝日国交正常化会談が再開したが、過去の清算の優先的解決を主張する朝鮮側に対し、日本は核問題、「拉致問題」の解決を持主張、2002年10月を最後に中断した。

○この間、金正日総書が9月、日本の共同通信社からの書面質問に対し ①朝日国交正常化は両国人民の念願と利益に合致するものであり、先送りできない時代の要請となっている ②両国は同じアジアの国として、近くて遠い国ではなく、近くて近い隣国として、共存・共栄を図っていくべきである ③朝日国交正常化は、両国の政治家に負わされた歴史的使命であり、責任ある政治家が大局的な立場で決心し取り組むならば、両国間に解決できない問題はないと回答している。

日本国内で「北朝鮮の拉致問題」が大きな取り上げられ、対朝鮮感情が悪化する中、2002年9月17日小泉首相が訪朝して金正日国防委員長と首脳会談を開催、「朝日平壌宣言」が発表された。また、2004年5月には第二回朝日首脳会談が開催、拉致被害者家族5名が日本に帰国した。

○しかし、国民与論の悪化を口実に、「朝鮮の早期崩壊論」に乗っかろうとする日本は朝鮮に対する対決姿勢を強め、実務者協議、政府間接触こそあれ、実質的には遅々として進まず停滞を招いた。

2014年5月、ストックホルムで開催された朝日政府間協議では、朝日双方の懸案事項について真摯に取り組むことを再確認、合意した。 朝鮮はストックホルム合意に従い、特別調査委員会を設置、日本側に「拉致被害者」及び日本人行方不明者の捜査報告を提出したが、日本側は受け取りを拒否、合意を破棄して朝鮮に対する制裁と在日朝鮮人に対する不当な差別と弾圧をより強化した。

2017年4月、朝鮮の宋日昊国交正常化交渉担当大使がストックホルム合意について「日本側が一方的に反故にしたのに誰が拉致被害者の再調査をするのか、水はすべてこぼれて地面にしみこみ、それは元には戻らない」と発言しているのはそれを端的に表している。

〇内政が行き詰まるたび「北の脅威」「拉致問題」「国難」を煽り続ける日本政府当局の様は、もはや尋常ではなく常軌を逸している。

アメリカでさえ、朝鮮と交渉の用意があると国務長官・国防長官が新聞に寄稿したりしているのに対し、日本は「対話のための対話では意味がない」(菅内閣官房長官、8月)と言い切り、安倍首相に至っては9月21日、UN一般討論演説で朝鮮に対し「対話による問題解決の試みは一再ならず無に帰した。必要なのは対話ではなく圧力だ」と発言、朝鮮の不興を買った。

さらに安倍首相は今年2月の平昌冬季オリンピック開会式に訪れた際には、「朝鮮には対話ではなくより一層の圧力を」「米間合同軍事演習を予定通りとり行うべき」だと発言、内政干渉だと著しい顰蹙を買う始末。

○北南首脳会談、朝米首脳会談が矢継ぎ早に議論され始める中、日本だけ蚊帳の外になる恐れに焦りを隠せなかったのか、「朝鮮との対話条件を緩和、雑談名目なら応じる」との珍説をマスコミにリークするという残念さだ。

日本政府のあまりの空気の読めなさに、朝鮮は朝鮮中央通信の論評で「日本が分別を失い引き続き悪ふざけをするなら、永遠に平壌行きの切符を求めることができなくなる」と警告を発した。 安倍首相は米日首脳会談に一縷の望みをつないで「北の拉致問題」を朝米首脳会談でとりあげて欲しいと懇願するも、経済問題しか眼中にないトランプ大統領に適当にあしらわれることに。

もはや遅きに失した感も否めないが、日本は朝日平壌宣言の精神に則って朝鮮と真摯に向き合って見てはいかがだろうか。

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元記者。 過去に平壌特派員として駐在した経験あり。 当時、KEDOの軽水炉建設着工式で、「星条旗よ永遠なれ」をBGMとして意図的に流しながら薄ら笑いを浮かべていた韓国側スタッフに対し、一人怒りを覚えた事も。 朝鮮半島、アジア、世界に平和な未来が訪れんことを願う、朝鮮半島ウォッチャー。 現在も定期的に平壌を訪問している。